あいつはいつもすぐに消える。











「楽しいか、それ。」

「うん。」



晴れた空の下、屋上でその女はシャボン玉を吹いていた。

陽の光を浴びてマーブルに輝くそれは、風を受けて何処かへ飛んで行き、すぐに割れた。


「…お前変わってるな。」

「そうかな。」

「ああ。」


また一つ名前がシャボン玉を吹き出した。

先程のより大きく、円が揺れている。

俺はそれをじっと眺めた。

マーブルに俺の顔が映って、歪んだ。



ぱちり、とそれが割れたと同時に、チャイムが鳴り響いた。


そういえば、授業中だったな。



「サボり。」

「君には言われたくない。」


名前はムッとした表情で俺を見た。

それもそうか、生徒会長なんだけどな。



「よく生徒会長なんてやってられるね。元ヤン。」

「根は真面目なんだよバァカ。」

「ふふ。」


どこに笑う要素があったのかは一向に謎だが、口をお淑やかに押さえて某ブラギンスキを思い出させるような笑い方をした。


「お前こそ立派な淑女じゃねえか。」

「アーサーも紳士だね。」

「当たり前だろ。」







万年サボりの名前と生徒会長の俺が幼馴染みなんて、フランシスとアルフレッド位しか知らねえだろうな、なんて。








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