明るい日差しの射し込む真昼。

私とロマーノくんは、収穫されたトマトの籠を持って、草の上に寝転がっていた。





「名前ちゃーん!!!ロマーノー!きてみいや!」


遠くのほうから声がする。
見れば、それはぶんぶん、と引きちぎれるくらいに手を振りまわすスペインさんだ。
上半身を上げて、返事のように腕を振り返す。
ロマーノも、トマトを齧る手を止めた。
何も言わずに、両腕を伸ばして私をじっと見上げる。
向こうに連れて行け、とう合図である。
私はにこっと笑ってロマーノを抱き上げた。

たくさんのトマトの間をすり抜ける様に進んでいく。
土を踏んで赤と緑を通り過ぎて。
やっとのことで広いトマト畑の真ん中でぶんぶん笑顔で手を振り回すスペインさんの元へ着いた。
早速というべきか、ロマーノは私の腕から地面へ降りるとスペインにいい音が鳴るくらいの頭突きを食らわせた。
小さな体に合わぬ威力の頭突き。
スペインさんは一瞬ふらっとよろけたが、すぐに持ち直してロマーノを抱き抱えた。




「もーロマーノはやんちゃやなあ。そんなんばっかりして名前ちゃんに迷惑かけてへんやろな?」




スペインさんが苦笑で問いかける。




「そんなわけねーだろばかやろー。俺はお利口だぞこのやろー。な、名前!」





スペインさんの腕の中で、私に視線を浴びせるロマーノにそうだね、と答えて頭を撫でる。
ロマーノはすごくお利口さんだよ、お手伝いしてくれるもんね。
猫のように目を細める姿はなんともかわいらしく、母性本能みたいなものが湧き出てくるようだ。
国なのに、私もこんな子供がほしいな、なんて思ってみたり。
そんな様子を微笑ましそうに笑顔で見守るのが、スペインさんで。
まるでお父さんみたいだな、なんて心の中でつぶやく。
スペインさんは、ロマーノええなあ、俺も名前ちゃんに頭撫でてもらいたいわぁ、なんて言って微笑んだ。




「もう、スペインさんってば。もう大人なんですからね。」



「そんなん言ったって、ずるいわー。名前ちゃんに撫でてもらえるんやったら俺もまだ子供がええなぁ〜!」





スペインさんは、ぎゅう、とロマーノを強く抱きしめた。
抱きしめられたロマーノからなんとも言えない声が押し出る。
ふふ、と私が軽く微笑むとスペインさんがロマーノを片手に持ち替えて、手を伸ばした。
その手は空を切ることなく、彼の手は私の腰を引き寄せる。
まるで恋人同士のような、
少し恥ずかしくなって、スペインさんの顔を見上げる。
すると、思いのほか近くにあって顔をトマトのように真っ赤に染め上げた。



にこっと笑ったスペインさんの笑顔はひまわりやカーネションよりも明るくって。
私は首を倒してスペインさんの肩にほほを乗せた。

其れをみたロマーノが私のほほとスペインさんのほほに一回ずつキスを落とした。







「こんなんしとったら、ほんもんの家族みたいやなぁ」

「ですねえ」









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