アーサーさんは、英語は全世界共通語だと言って英語しか話さない。そして、私は兄である菊の言葉しか話せなかったわけで、いままで会話が成立したことはなかった。でも、私はきがついたらアーサーさんに惚れていて、それでは英語も話せなければ、と猛特訓した。ようやく、簡単な英語程度が話せるようになり、私とアーサーさんは一気に距離を縮めた。
「What do you like ?」
「あ、あい…らいく、とぅ、りーどぶっく、す!」
本場の方からみたらあまりにも汚い英語だと思うだろうが、アーサーさんはにっこり笑ってMe tooといってくれた。アーサーさんも本を読むのが好きらしい。
「Do you like kiku?」
「ぇ、いぇす!」
「Do you Like me?」
「い、いぇす!!あ、あいらいく、みすたーあーさー!べりー、まっち!」
「Oh,thank you.」
またふわりとわらってみせて、私の髪をなでた。心臓が破裂しそう、うわあ、顔綺麗。睫毛ながいなあ。
「…どぅ…ゆー、らいく…みー?」
戸惑いがちにきいてみる。
アーサーさんは面食らった顔ののち、にやりといたずらっこのような笑みを見せた。
「No,but I love you.and you love me.I know.You see?」
「え、」
つらつら並べられる単語。らぶとかのうとか聞こえたけど分からない。単語は、ちょこちょこわかるけど、
「え、あ…」
「What do you hope?」
「わ、わっと…えーと、あなたは、なにをねがいますか…え、あ…っと、うあ」
あい、うぉんとゆー、とぅほーるどまい、はんど
私が小さく呟くと、彼は大きな手で私のそれをつつんだ。