「土方さん。」
「…なんだよ。」
書類――主に沖田さんの壊したモノの処分書――にサインと判子を交互に入れる土方さん、副長。
本来、局長である近藤さんがすべき仕事を彼がしているのは、いとしのお妙さんの身辺保護という名のストーカーに勤しんでいるからだ。
沖田さんは仕事サボるし、近藤さんはストーカーしてるしで、土方さんはとてつもなくイライラしている。
その内、胃に穴が空くんじゃないだろうか。
いや、きっと彼の胃には胃を保護する粘液の上にさらにマヨネーズでコーティングされているから大丈夫なのだろう。マヨラーの生んだ神秘の力、なんちて。
「下らねえことばっか考えてねえで、仕事しろ仕事。お前にまでサボられちゃかなわねえよ。」
「そーですね、まあ聞いてくださいよ、こないだ銀ちゃんがねー」
「万事屋共々斬り殺してやろうか」
「わーわーごめんなさい!」
もともと開いている瞳孔を全開にして、キラリと銀に怪しく輝く真剣を鞘から抜き出したのを見て、それを押さえる。
危ない、危ない。
今の土方さんは本気だった。
「…はあ、で、何のようなんだ。さっさとしてくれ。」
「ああ、そうそう。」
私は、隊服のポケットからでじかめを取り出して、睨みまくっている土方さんにピントをあわせた。
「はい、チーズ」
「チーズ…じゃねェェェェェェ!!!!」
おもいっきりでじかめを畳に叩きつけられ、それはガシャリと音をたてて破壊された。
最新小型カメラ、ブレない高画質、なんてのが売りの無駄に高いカメラも、こんなに脆くはかない。
「な、何してくれてんですか!!これ沖田さんのなんですよ?!」
「勝手に人撮ってんじゃねえよ!肖像権つーのを知らねえのかてめえは!!」
「知ってます!仮にもチンピラ警察だもん!!!」
「チンピラは余計だ。…何でこんな事をした。」
だって、だって…
「お、沖田さんが…私に…」
「はあ?総悟?」
「呪い用の写真を、って…」
「……。」
沖田さん、私なら怒られないって言ってたのに…!!!
「沖田さんめ…!」
「言いたいことはそれだけか?」
「…え?」
土方さんを見ると、真剣を再び鞘から抜いて睨んでます。超睨んでます。
や、ちょ、なんか…
「切腹だゴラ!」
「いぎゃあああああああ!!沖田さんのばかああああああ!!!」
そしてこのあと私はドSからもいじめられることになる。
ああ、なんて可愛そうな私。