わたしは雷門サッカー部のマネージャー。

幼なじみの守がサッカー部に入ったときに、わたしも入部した。

ほんとはテニス部に入りたかったんだけど部員数が足りないから、って守に頼まれて。

わたし選手じゃないんだけどと思ったけど守の笑顔には勝てなかった。











そして幾月かの時間が流れて。











弱小だと思っていた雷門サッカー部は、気が付けば日本最強になって、あれよあれよと宇宙人と戦う羽目になってしまった。

初期から一緒にいたメンバーはみんな宇宙人との戦いで負傷。

そんな中でも休むことは許されなくて、気が付いたらイナズマキャラバンというバスに乗せられていた。



いつだってそう。

わたしが見ているうちに守はだんだん強くなっていく。


随分前は見向きもされなかった筈なのに今は二人の女の子に好かれてる。

なんだか守が遠くにいっちゃった気がした。











「名字さん?」


「へ?あ、な、なに?」


ずっとぼーっとしていたのか、心配そうに一ノ瀬くんがわたしに声をかけた。
そうだ、今は洗濯中だった。
洗濯機は野外にないから手洗い。
これがきつい。

一ノ瀬くんって紳士だな。


「いや、何じゃなくて…大丈夫?」


「へ?」




ふと手元を見ると、ユニホームを洗うために出していた水が桶から溢れていた。
そこにずっと指先をつけていたから、真っ赤になって冷えている。

指先は固まっていた。



「っあ!」


指を桶から引き抜く。

急いで蛇口を止めようとするが指先が冷え固まってうまく力が入らない。

すると、横から手が延びてきて蛇口を捻り、わたしの手をとった。
一ノ瀬くんの手だ。



「あ、ごめ…」




お礼を言おうとすると、一ノ瀬くんはあろうことにもわたしの赤くなった指先をすこし撫でた後に、









なめた。














「ひあああああ!」


「んっ…」



いやいやいやいやいやこれええええええ?!


一ノ瀬くーん?!何があった?!


そんなえ、えろい声まで出して!



「いいいいいちの…っんっ」

「ぷぁ、こうすると、暖まるだろ?」



指先を口から離した一ノ瀬くんは悪びれた様子もなくにこっと笑って言った。


笑顔が素敵とか言ってる場合じゃないぞこれは!



「ははは離しっ…」


「まだ赤いし…あ、顔も赤いね。」




それは貴方のせいだよ一ノ瀬くん。

まさか顔までなめるつもりはなかろうな。いや、嘗めてくれるなよ。





「これは顔も嘗め…」
「慎んで遠慮させていただきますっ!」





わたしは桶を両手にその場をさった。


ちくしょう、一ノ瀬くんのエロめ!












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