「すきです」
三日前のことだった。
俺の席の斜め前の席の女、名字にいわゆる愛の告白と言うものをされた。
俺は一クラスの人数が多いこの学校だからか、斜め前の席の筈のあいつを知らなかったので、知らないやつと付き合う義理もないから無理だ、と告白に対して言った。
だが、それをきっかけに最近そいつをずっと見ていたら、なんだかすごくかわいいやつなんだと思うようになっていった。
そりゃあ俺に惚れてくれていると言う色眼鏡もかかっているんだろうが、それにしたとしてもあまりに見た目性格素行共に俺の趣味にストライクで、今さらになってフッたあいつにだんだん惹かれていくのを感じた。
だが、プライドの高い俺からしたら、フッた女に告白するなんて言うのはあいつが許しても自分の中の自分も許さなくてあいつがまた告白してきてくれないか等自分勝手にもほどがあるようなことを思っている。
今だけは自分自身のプライドの高さを恨んだ。
「…名字。」
無意識に小さく彼女の名前を呼んだ。
今、俺はきっと彼女に惚れているのだろう。
だが
「ねえねえ知ってるー?」
クラスの噂好きな女が、彼女の友人に話をしている。
名字と正反対の口調に性格。
バサバサの茶髪は俺の嫌うもの。
クラス1かわいいらしいが、俺には全くかわいいと思えない。むしろ名字の方が可愛いんじゃないだろうか。
だが、彼女の言葉に俺は脳にハンマーを打ち付けられたような気分になった。
「名字さんと源田くん付き合ってるんだってえ」
なんだよ、あいつ誰でもいいのかよ。