06 その後、キレる三成君を連れて私と家康君(と、呼べと言われた)は1年2組の教室へ向かった。 元男子校なだけあって、やっぱり男子が女子より多い。 この高校は2年前に改築と同時に共学になったらしい。 制服はかわいいし、校舎も綺麗だからそこそこ女子もいるけれど、やっぱり男子のほうが多い。 特に共学になったばかりだった三年なんかは殆ど男子なんだろうなあ。 1年2組の教室へ入ると、黒板に番号が書いた座席表のような紙が貼られている。 出席番号を確認してその席へ座った。 その席は大体教室の真ん中の後ろのほう。 まぁ、一番前じゃないだけマシだろう。 斜め左前は三成君で、隣は家康君だった。なんたる偶然。 「知ってる人がまわりに居てよかった」 「そうだな」 「なぜ家康と一緒のクラスにならなければいけないんだ。斬滅してやる…!」 三成君はまたギリギリと歯軋りしている。 これだけ言われているが、家康君はなれっこの様でハハハと笑っていた。 2人の過去に何があったんだろう。 見たところ結構付き合いは長いみたいだし。 そんな三成君と家康君に付き合っていると気が付けばチャイムが鳴った。 先生が教室に入ってきたので生徒達は前を向く。私達も例外ではない。 先生は良くも悪くも自由な人だった。 入学式だからこそスーツだが、性格は割とちゃらんぽらんで、あまり規則を気にしない大らかな先生だ。 入学式を終えて、教室へ戻る。 先生は用事があるらしくいないから、皆新しいクラスメイトと話していた。 三成君はめんどくさいとどこかへ行ってしまい、家康君はいろんな男の子と話している。 私はといえば少ない女子の中で仲良くなれる子がいるかなぁ、と思いつつも三成君ほどではない人見知りの所為で声をかけられずにいた。 元々、こういうのは苦手なのだ。 そう思っていた矢先、女神というか天使が現れた。 「こんにちはっ☆」 語尾に星がつくような、いや、確実についている。 そんな明るさでまさに天使のようなかわいい女の子が話しかけてきてくれた。 ふんわりとしたボブヘアーがとてもよく似合っている。 「女の子少なくて寂しかったので、声かけちゃいました!」 「えっ、あ…はい…」 「私鶴姫っていいます!アナタは?」 「苗字名前…です」 「素敵な名前!ねぇ、もしよかったらお友達になってくれませんか?」 人見知りが災いしてどもる私には、こういう風にはきはきして明るい子は嬉しかった。 話してみると、趣味は合うし話しやすいし、いいお友達になれそうだ。 正直言うと、女の子とこんなに話すのなんて久しぶりだった。 豊臣家には男の人しかいないし、中学の友達とも連絡がとれていなかったし。 暫らく話していると先生が来たので、鶴姫ちゃんは一旦自分の席へ戻った。 私の列の一番前の席らしい。 そしていつの間にか三成君が帰ってきている。 どこいってたんだろう。ふと気になった。 入学したばかりの学校で行く場所なんてあるんだろうか。 「三成君何処いってたの?」 「二年のところだ」 「二年?知り合いでもいるの?」 「あぁ」 --- ←→ 表紙へもどる |