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元親先輩が帰った後の話。



「名前ちゃん、何があってもあの悪い海賊には近づかないでくださいね!?」
「えっ、なんで」
「なんでもです!」
「ていうかなんでそんな鶴姫ちゃん元親先輩のこと嫌いなの」
「あの人は鶴を騙したんです!いけない鬼なんです!」

ぷんぷん、と思い出して怒り出す鶴姫ちゃん。
意外だ、あの人、騙そうとして顔に出て、失敗しそうな顔をしているのに。
人は見かけによらないとはいうけれど…。
しかも鶴姫ちゃんが騙されるって、どういうことなんだろう。

「実は私幼馴染みなんです」
「へえ、そうなんだ。」
「昔はあの人のこと私物凄く好きだったんです。本当に綺麗でかわいくて優しくて、一番大好きなおねえちゃんだったんです。」

…お姉ちゃん?
おかしい、彼はどう見ても正真正銘の男の人だ。
アニキとは呼ばれているらしいけど、お姉ちゃんなんて似合わないと思う。

「…それなのに、お姉ちゃんが中学生になってから再び会った時、物凄くむきむきなお姉ちゃんとは似ても似つかない男の人になってたんです!」
「え」
「鶴はずっとあの人はとても可憐でかわいい女の子だと思っていたのに!」

うああん、と鶴姫ちゃんは顔を手で覆って泣くようなしぐさを見せた。
実際泣いてるわけではないようだが。
しかし、どういうことなんだ。
鶴姫ちゃんの話が全く理解できない。
お姉ちゃんが男の人になる…?
性転換でもしたのか。

「…ワシが説明してやろう。その様子じゃ、鶴姫の話だと分かってないんじゃないか?」
「いや、うんまさにそうでした。」
「そうだな…簡単に言うと、昔、元親は女の子みたいな格好をしていたんだ。物凄くかわいかったぞ。本物の女の子みたいだったなあ。まあ、ワシは写真しか見たことがないけどな」
「え」

話はわかった。
けど、全く想像がつかない。
あんなものすごくガタイのいいお兄さんが女の子みたい…な…?

…駄目だ、オカマみたいなのしか出てこない。
半兵衛さんとかが女の子みたい、ってのなら信じられる。三成君も、細いし美人だからありえないことではなさそうだけど…
あの人が?


「ワシもびっくりしたんだ。元親とは中学に入って初めて会ったんだが、その時には既にあんな感じだったからな」
「なるほど…」

…人って変わるもんなんだなぁ
ということは三成くんも今とは違ったりしたんだろうか。

「三成くんとかはどうだったの?」
「三成?…そういえば三成は全然変わっていないな」
「家康…貴様…!」
「えっ三成君どうしたの」
「いやぁ、ワシは昔、物凄く身長低くてな。三成のほうがでかいくらいだったんだ」
「何それ想像つかない…」
「家康、その口を今すぐに閉じろ、でなければ斬首する」
「まぁまぁ、それで三成によく小さいとからかわれたものだ」
「へぇ…」
「そんなに死にたいか家康ゥゥウウ!!!」
「けど中学2年くらいの頃だったか?突然身長が伸びだしてな。気が付けばこうなっていた」
「気が付けばって…っていうかなんで三成君そんなに怒ってるの…」
「三成はワシに身長抜かされたのが相当悔しかったらしいぞ」
「悔しくなどない!!!」
「嘘をつけ、身体測定の日背伸びしていただろう、ワシは知ってるぞ」
「家康ゥゥゥゥゥゥゥウ!!!!」


どうやら、三成君は相当身長を気にしているらしい。
三成君、そんなに言うほど身長低くないと思うんだけどなぁ。
むしろ平均より高いと思う。実際の数値はしらないけど。
高校生の男子でも160ない人とかも普通に居るし、そんなに気にしなくても…。

というか家康君が横に並ばなければ、三成君細長いってイメージだしそんなにわからないとおもうんだけど。
…もしかして、家康君が隣にならんで小さく見えるからイヤなのか。

多分そうだろう、十分にありえる…。


「で、でもそんなに背高かったら彼女の背ちっちゃかったときに困るし秀吉さんみたいに家選ばなきゃいけないし大変だとおもうからそんなに気にすることじゃないとおもうよ!」
「ほら、名前も言ってるじゃないか」
「……。」


よかった、黙ってくれた。


「それに私身長高くなくてもいいとおもうよ、三成君くらいで丁度だと思うなあ」

いや、私の意見なんてどうでもいいだろうけど


「…、そうか」
「うん」


三成君が落ち着いたところで周りを見回した。
あれ、気が付いたら、鶴姫ちゃんがいない。


「あ」



「あー、苗字、石田、徳川。今授業中なんだが」


先生すいませんでした。








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