11 翌日の放課後。 昨日はさらっと流したが、私は部活見学に行くことにした。 この高校には物凄く沢山の部活があって、それ目当てに此処に入学を志望する人も少なくはないとか。 聞けば鶴姫ちゃんもその1人らしく、他の理由もあれど弓道部があるからここに進学を決めたらしい。 私は中学の時も部活に所属していなかったし、特に入部も考えていなかったのでどうしようかと悩んでいたら 「一緒に見て回りませんか?私、他の部活もちょっと気になるんです!」 と、いう鶴姫ちゃんの声がきっかけで二人で見て回ることになったのだ。 1人で回るのはやっぱり心細いだろうから助かった。 とりあえず私達は、入学式に配られた部活一覧表を見ながら学校を回ることにした。 しかし、部活の設立が簡単なんだろうか、色々な部活がある。 珍しいマイナーな部活から他の学校には絶対無いだろうというイロモノ部活もあった。 たとえば、ザビー部。 名前からして胡散臭いと思っていたが、試しに見に行ってみると中身も胡散臭かった。 なんでも、英語のザビー先生を信仰する部活らしい。 ちなみにザビー先生というのはハゲ頭で有名な先生だ。 部長は3組の大友君だった。 必死にザビー様の素晴しさとやらを語り出してきたが、私は興味が無かったので熱い勧誘を丁重にお断りした。 しかし、よくあんな部活に部員がいるもんだなぁ…。 そんな色物の部活もある中、私達は比較的普通そうな部活を中心に回っていった。 女子は入れないだろうけど、興味本位で覗いたボクシング部には家康君が体験入部しているようで、先輩らしき人と打ち合っていた。 家康君の動きは素人でも分かるくらい凄くて、見とれてしまう程。 彼はボクシング部に入部を決めたようだった。 次に剣道部。 其処にはやっぱりというか、三成君が居た。 声をかけようかと思ったけれど、迷惑だろう。見ているだけにすることにした。 三成君はちょうど右目に眼帯をした先輩と試合していた。 眼帯の先輩はものすごい気迫だった。しかし、それにも三成君は全く負けていない。 先輩相手に竹刀を振る三成君は、いつもと雰囲気が違ってかっこいいと思った。 (部活中の男の子ってのはこんなにかっこいいもんなんだなぁ) 中学時の友人がサッカー部の先輩に黄色い声を上げていたのも今なら頷ける、かもしれない。 …というかあの眼帯先輩、なんで英語喋ってるんだろう…。見た目完全に日本人なのに…。 最後に回ったのは料理同好会。 此処では二週に一回、色々な料理を作っているらしい。 クッキーやケーキなどの定番お菓子は勿論、簡単に作れるフレンチトーストから、本格的なリゾットなども作っているらしい。料理が好きな私はちょっと興味を持った。 それを鶴姫ちゃんに伝えると、鶴姫ちゃんも同じだったようで、暫らく2人で見学していた。 部員の先輩はかすが先輩、猿飛先輩、市先輩と多くは無かった。 けれど、部活の雰囲気もよかったし(かすが先輩が猿飛先輩に喧嘩を売っていたけど)、顧問のまつ先生も凄く優しい人だったので、私は入部を決めた。 あまり回数も多いわけじゃないから、こうして半兵衛さんたちがいなくて家事をしなきゃいけないときにも負担はないだろうし。 鶴姫ちゃんも入部を決めたらしく、弓道部の休みの日と料理同好会の日が重なっていたので掛け持ちできる!と嬉しそうにしていた。 とりあえず5時になり今日の活動は終わりということだったので、私と鶴姫ちゃんはかすが先輩の作ったケーキを一切れ貰って家へと帰った。 先輩は優しいし、楽しそうだし、部活がすごく楽しみだ。 --- ←→ 表紙へもどる |