08 とりあえずクローゼットから私服を出してベットの上に放置し、その隣に座って制服を脱いでいく。 やっぱり新品の服だからちょっと硬い。 スカートを皺にならないようにハンガーにかけていると、無遠慮にドアが開かれた。 「え」 「!?」 目が合った瞬間、ドアは閉められた。 危ない、自分が下着姿だったのを忘れていた。 ドア越しにうなり声が聞こえる。 「貴様はバカか!着替えているときくらい鍵をかけろ!」 「えっごめんっていうかノックしなかった三成君が悪いんじゃ」 「煩い!さっさと着替えろ!貴様に渡すものがあるッ」 とりあえず、制服をクローゼットに仕舞い込み、服を着てドアをあける。 三成君は茹蛸みたいに真っ赤な顔をしてこっちを見ずに、お守りを突き出した。 「(かわいい…)え、これ」 「秀吉様がくださったのだ。貴様と私に、交通安全だ。光栄に思え!」 子供か!なんてつっこめなかった。そんなことを言えば三成君に殺されてしまう。 それに嬉しかった。秀吉さんはこういうところで優しい。 「ありがとう…」 「フン、礼を言うなら秀吉様に言え」 「うんわかった」 それだけ言うと三成君は隣の自分の部屋へ戻っていった。 三成君、意外と初なところもあるんだなぁ…ちょっとかわいい。 とりあえず、通学鞄に秀吉さんに貰ったお守りをつけておいた。 赤よりも少しピンクがかったかわいい色のそれは、明らかに女の子向けだ。 わざわざ買ってくれたんだろうか、うれしいなぁ。 --- 「それじゃあ、いってくるね」 「家の事は頼むぞ、三成。」 「はい、全て私にお任せください。秀吉様、半兵衛様。」 「いってらっしゃいませ!」 半月から1ヶ月の出張と言うにはあまりにも軽い荷物で秀吉さんと半兵衛さんは家を出た。 よく出張を行くから車とかに準備があるんだろう。 それに、秀吉さんなんか体が大きいから服も嵩張って、その分荷物を持っていくと大変なことになるんだろうなぁ。 半兵衛さんは、すごく細身だからたいして嵩張らないんだろうけど。 いやどちらにせよスーツだから嵩張るか。 「貴様、家事は出来るのか」 「一応人並み程度にはできるよ」 「…そうか」 「三成君は?」 「洗濯機を回すぐらい私にだってできる!」 洗濯だけかよ!! という突っ込みは心の中に押し込んだ。 三成君てあんまり家事をしそうな感じじゃないしね。 明日から2人かぁ。 大変だけど、頑張ろう --- ←→ 表紙へもどる |