※性的描写を含みます。18歳未満の方、苦手な方はご遠慮ください。













「もしもし靖友クン?帰省したはいいんだけど家が忙しすぎて逆に暇だからそっち行ってもいい?」
「ハァ?ちょ、まっ」

12月末、寮生のハコガク生も実家に帰る時期。
みんなはコタツでゴロゴロしているんだろうけど、うちは実家が自営業をしているので、最後の追い込みだかなんだかで家中が慌ただしくとてもじゃないが落ち着けない。
そんなわけで家がほど遠くない恋人の家に押しかけることにした。
電車で5駅、30分とかからないくらいだろうか。
荒北家最寄り駅改札を出たと同時に電話をかけた。
ワンコールで出てくれたことに愛を感じる。駅に着いたと告げると迎えに行くと言われたので、少し待つことになった。


「あ、靖友!」
「お前、いきなりすぎんだヨ!」

会って早々背中をベチンと叩かれた。地味に痛い。彼女に対する扱いじゃない。

「えへ、ごめん。だって靖友なら暇してるかなって」
「出かけてたらどうするつもりだったんだヨ」
「新開んちあたりに押しかけたかなー」
「それはヤメロ」
「えへ、冗談です」

そういうとまた同じように叩かれる。なんだ、いつも以上にいたいぞ靖友クン。

静かな高級住宅街を少し歩くと荒北家はある。
豪邸と言うには及ばないが一般家庭の私からすればでかすぎる家を訪ねるのは今日で3回目だ。
相変わらず大きいし、よくわからないくらい広い庭も手入れされている。

「…んまジロジロ見んな」
「ごめん、だってなんか…新鮮で」

靖友は繋いでいた手を離して鍵を開け、また繋ぎ直した。
もう入るんだからわざわざ繋ぎ直さなくても、と思うものの嬉しいので言わないでおく。変なところで律儀なのだ。
内鍵をかけて、スリッパを出してもらった。
つるつるの床の廊下を滑らないよう歩く。
バランスを崩すと靖友が手を引いて持ち上げてくれた。

「妹ちゃんは?」
「出かけてるヨ、二人とも」
「なーんだ、また会えると思ったのに」
「オレ的には…いなくて好都合なんだけど」

靖友の部屋のドアを開けて、靖友は私の肩を抱いてからそのまま部屋に押し入った。
バランスを崩したと思ったらそのままストンとベッドの上に座らされる。
靖友の部屋は前と変わらずゴチャゴチャしているものの綺麗だった。

「や、すとも」
「親のいない帰省中狙ってウチくるなんてなまえチャンもソノ気だったんじゃナイのォ?」
「いやいや、」

うそ、そういう気満々でした。だからわざわざ新開の名前を出してまで煽ったのに。その必要はなかったらしい。
年頃の恋人同士が密室に二人きり、することは一つだ。



「っは、やす…」
「寮じゃこんなことできネェもんナァ」

軋まないふかふかのいいベッドに押し倒されてたくさんキスされる。
最初は軽いキスだったのに、だんだん深くなってきていつの間にか私の頭は靖友の手で掴まれていた。

首筋を舐められて腰が引ける。私が首筋に弱いのを知っていて、わざとゆっくりやっている。意地悪な顔をしているからバレバレだ。
ぞくぞくして、たまらなくなって靖友の服を掴んだ。
鎖骨の辺りを強く吸われて襟の空いてる服が着れないな、なんて呑気なことを考えていると、また舐められて余裕がなくなる。

「余計なこと、考えんな」
「ごめっ…んぁっ」

セーターを下のキャミソールごと押し上げられて、下着と肌が露わになった。
身体に熱が上がっている分、外気に触れて寒さを感じる。
お腹をつーとなぞるように指先を滑らせた後、胸に触れた。
片方は緩やかに触られて、もう片方は舌で刺激される。
背中に回した手で服をさらに強く掴むと嬉しそうに笑って胸を吸われた。

「そっち、じゃ…なくて」

上だけじゃなくて、下にも欲しい。おねだりすると靖友は「ハ、いつもより欲張りなんじゃナァイ」とスカートの中に手を滑らせた。
タイツじゃなくてニーソを履いてきてよかった。靖友だったら高いのを履いてきても破られていたかもしれない。
下着越しに触れられただけで潤っているのがばればれで、もう準備できてんね、と下着をずらされた。
ベッドの横の引き出しからそれを取り出して装着したあと、そこに何かが当たる。

「やすと、も」
「ん」

手を伸ばすと指を絡めるように繋ぎ返してくれて、ぎゅっと握った。少しずつ割られて押入れられる。
苦しそうな声を上げるたびにキスしてくれるのが心地いい。
ぐりぐりと中をえぐるようにされて、痛いはずなのに気持ちいい。
声を抑えようとつないでいない方の手を口に当てるとそれも除けられて絡められた。

「声、抑えなくていい、からァ」

そうは言うけど恥ずかしい。口から漏れる息と声が自分のだと思えない。思いたくない。
動きが速くなって、もう終わりが近いことを察した。
手をほどいて靖友の背中に腕を回す。
ぎゅっと抱きしめると同じように私の背にも腕が回って、中も体も近づいた。
耳元の息が荒い。
どくんと感じて、力が抜けた。
靖友の体重が私にかかって、正直重いけど、退いてほしくない。心地いい重み。

「やすとも…」
「ン、こっち向いて」

ちゅ、とリップノイズをたてて可愛らしいキスを繰り返す。
こんなことされたら、またしたくなっちゃうよ。
熱のこもった目で見ると、靖友も同じことを考えていたらしい。
髪を撫でられて、なんだか熱のこもった声で名前を呼ばれた。

「なまえチャン、もういっか…」
「ただいまー!あれ、靴ある!おねーちゃんおねーちゃん!靖兄なまえちゃん連れてきてる!」
「うそ!マジだ!やすにいー!」

ドタドタとドアの向こうで声がする。
やばい!
靖友はすごいスピードで起き上がり、部屋のドアに鍵をかけた。
そのすぐ後にガチャガチャとノブを回す音がする。
やすにい?と外で可愛らしい声が聞こえた。

「靖兄ー!なまえちゃんきてるのー?」
「ウッセお前らには関係ネェだろバァカ!」
「あっやっぱきてんじゃん!開けてよーねえなんで鍵かけてんの?」
「エッチしてた?」
「してねえよ死ねマジでお前らどっかいけ頼むから」

最悪だと靖友は頭を抱えた。
妹ちゃんと靖友が会話してる間に下着をつけて服をきて、髪の乱れを直す。
匂いが残ってたらバレるよね、と窓を開けると、服をきている途中だった靖友に寒ィ!と怒鳴られた。

「あークソ、なんでこうなんだよ」
「靖兄がなまえちゃん独り占めするからじゃナァイ?」
「ナァイ?」
「真似すんなバァカ!」

そのあと?もちろん、かわいい妹二人と遊びましたよ。
悪くない年末。耳元のラブホテルへのお誘いは、今は置いておきましょうか。



140113



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