「な、なにしてんですか、なまえさん」
「ユキはじっとしててくれればいいから!」

これは、私の見栄と外聞、それから愛のための行動だ。
二人きりの自室でユキに身体を寄せ、体重に任せて押し倒すと、ユキのもとから大きな目が見開かれ、明らかに動揺の色を写していた。
私たち二人は今まで健全も健全なお付き合いをしてきたため、こういうことをしたためしはなかった。だけど、この行動の意味がわからないほど、綺麗な生き物というわけではない。
唇を重ね、舌を絡ませ。ここまではいつも通りだった。ユキのきゅっと閉じられた瞳と、それに反して緩んだ口元がいやらしい。
ユキの手が私の背中に回ったのを合図に、そこに手のひらを滑らせる。
最初は大人しかったそこも段々質量を増したのか、スラックスの中できつそうに脈打っている。
いつの間にか開かれたいた目がとろんとして、絡まった舌と下半身への刺激に蕩けきっていた。

「はぁ…なまえ…さん」
「ユキ、ちょっと足開いて」
「ん…」

唾液の零れた唇を舐めてから、ユキの上から退くと硬い太腿の間に身体を滑り込ませた。
ギチギチになりきつそうなそれを解放してやると、それだけでユキは唇を噛む。
初めて見た男の人のそれ、大きさと予想以上のグロテスクさに怯えツバを飲みながらも、これはユキのだと言い聞かせ、恐る恐る指を這わせた。

「あっ、なまえさん、それっ、やば」
「えっと…ん、」

太腿をばたつかせるユキの足を片手で押さえ、先端に口付ける。
太腿を押さえていないほうの手でそれをなでながら、ゆっくりと裏筋を舌でなぞった。
最初は何もなかったのに、先端が濡れてきて、これが我慢汁というやつかと無駄に豊富な知識を現実のそれと照らし合わせる。
舐めているだけでは物足りないかと上から口に含み、垂れ下がってきたサイドの髪を耳にかけると、ユキが大きくうめき声を上げた。

「ふ、ひい?」
「やめ、それっ…しゃ、しゃべんなっ…」

敬語も忘れて顔を赤らめて乱れる姿を見上げるのは、なかなかに気分がいい。
やってみるまでは怖かったけれど、こんなに反応してくれるなんて。
舌と口を使って、雑誌で得た知識でどんどん刺激を強めていく。
腰を引いたユキを逃がさないといわんばかりに抑えた太腿に触れるか触れないかの距離で指を這わすと、それさえ気持ちがいいのか、面白いくらいに膝を暴れさせた。

「も、なまえさ…あっ…」
「ふ…っ!?」

突然髪を掴まれたかと思うと、前かがみになったユキに腰をゆすられ、逃げられないように抑えられたまま舌や喉にそれをぶつけられる。
さっきまで自分が主導権を握っていたはずなのに。自分の上で名前を呼びながら腰を動かすユキは苦しさに顔を歪ませた私に気がついていないのか、欲望のままにその律動を続けた。

「すいませ、もう…!」
「んんんんっ!」

どくどくどく、と何度かに分けてのどの奥に何かが放たれる。精液だ。初めてだったのに、口にだされてしまった。
喉の奥がねとねとして、舌から感じる味はただただ苦く、どこか生臭さを感じる。
気持ち悪い、今すぐ吐き出したい。
すっかり萎えてしまったユキのものと一緒に吐きたいという意味を伝えるために舌を出すと、ユキは慌てたようにベッドサイドにあったティッシュ箱を掴むと何枚かそれを引き出し、私の前に差し出した。
遠慮なくそこに落とされた精液は私の唾液と絡まり、白くにごっている。これが、ユキの。
まだ残る口の中の苦味を必死にかき消そうと舌を口の中でばたつかせていると、肩を掴まれ、ユキの顔が近くに寄せられた。

「なまえさん…続き、いいですか」

誘ったのは私だから、私だから。今更口をゆすぎたいとか、休憩しようとか、またの機会にとか。
そういう選択肢はのこされていなかった。





ツイッターリクエストその3



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