鳴子章吉


章ちゃんに久々に山に登りに行こうと言われた。高校の時自転車がきっかけで出会い付き合うようになった私達だが、大学三年生に最後登りに行った以外二人で登りに行くのは本当に久しぶりだった。

「なまえと登るのほんま久しぶりやな!」
「うん、三年ぶりくらい?」
「うお!そんな登ってなかったんか!」

本当、久しぶりすぎて章ちゃんのペースについていけるか不安である。いやまあ、章ちゃんのことだからペース合わせてくれるんだろうけど、私も出来る限りは頑張りたい。

「ほな行こか!」
「うん!」

そう言って登り出す。
平坦二キロから始まって徐々に斜度の上がっていくコース。章ちゃんのアームストロングクライム、懐かしいなあ。

「高校生んときよくこうやって登ってたなぁ」
「ね。私が章ちゃんについてけなくてヒィヒィ言ってたね」
「まああの時は現役やったしなあ」
「今だって現役のロードレーサーでしょ」
「言われてみればそうやな」
「でも、今も昔も章ちゃんはずっと待っててくれるね」
「…まあな」

そんな話をしながら登り続けて行き、あと数百メートルで頂上というとき。
「なまえ、ちょい先に上で待ってるで!」
「え、しょ、章ちゃん?!」

いきなり章ちゃんがダンシングを始めて登って行ってしまった。
突然のことに置いてけぼりになる私。あれ、いつも待っててくれるのに…。
でも何かあるみたいだったし、登ってから聞けばいいか。
そう思った私も残りの道をダンシングで登っていく。
頂上に着くと、真ん中らへんに章ちゃんがいた。

「章ちゃん!」
「なまえにこの景色、見せたかったんや」
「え?」

スッと章ちゃんが横にずれると目の前の景色が広がった。
それはそれは綺麗で、言葉を失うような眺めだった。

「綺麗…」
「ワイ始めてここ登ったときから決めとったんや」
「え?」
「ここでなまえにプロポーズしようって」
「え、」

もしかしてそれって。
どこにしまってたのか、章ちゃんはスッと私に箱を差し出した。
箱の中身は、綺麗な指輪だった。

「し、章ちゃん…」
「ワイあまり頼りないし迷惑かけまくってしまうかもしれんけど」
「そんなごどない…」
「それでも、なまえのことが好きなんや」
「う゛ん…っ」
「だから、ワイと家族になってください」

私は涙と嗚咽でもう喋れなくて、その代わりというか、返事代わりに指輪を受け取って、抱きついた。

20140225
鳴子君は絶対男前だなとなった結論。
鳴子君好きすぎるから世話焼いてあげたい。
鳴子君可愛すぎるね?大天使かな??
というわけでもちこのかくお話はこれで終わりです。
こんな突発的企画に付き合ってくれたひなみちゃん、ありがとう!山神と幸せにな!!
読んでくれた方々もありがとうございました!

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