忘れ物の話

「荒北、おなかすいた。死ぬ」
「…朝飯はァ?」
「今日数学のプリント提出じゃん。やってなかったんだけどさ、学校わすれててさ、急いで来たわけ。朝食べずに。塔一郎より先に。そしたらさ、弁当わすれた」
「バッカじゃナァイ?」
「そんなのわかってるよ忘れた私がバカなんだよおなかすいたおなかすいた荒北なんかないの」
「なんもね…あ」
「お?」
「新開のヤツからもらったパワーバーなら」
「ちょうだい!」
「あげねー」
「なんで!」
「オレのレース用だから」
「また新開さんからもらえばいいじゃん」
「お前がもらってこい」
「やだ」
「なんで」
「塔一郎があの人鬼って言ってたから」
「レース中の話だろォ」
「でもなんか怖いんだもん。ね、荒北おねがい」
「…アー、どうしよっカナァ」
「ねーねーあーらーきーたーさーまーお願い!なんでもするからぁ」
「なんでも?」
「なんでも…は、いいすぎた」
「じゃあチューしてくれたらイイヨ」
「えー」
「な、諦めろ」
「仕方ないな、塔一郎以外の男の子にはまだしたことないんだからね?」
「は?いや冗談だっちょっまっ」

ガラッ

「姉さん、お弁当」
「とおいちろお!!」
「…なにしてたんです?」
「なんでもないよ愛しのマイブラザーきゃあありがと塔一郎愛してるちゅうしてあげる」
「今は遠慮します。…荒北さん?どうかしました?」
「…別にィ」

140104

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