お弁当の話

「やあ泉田さん」
「どうも新開さん。どうしたの?荒北ならいないけど」
「え、いないの?じゃあいいや。ここ座っていい?」
「荒北の席だからいいと思うけど、帰らないの」
「もしかして泉田さんてオレのこと嫌い?」
「塔一郎のために嫌いにならないであげてる…」
「優しい姉ちゃんだな。塔一郎がシスコンなのも頷ける」
「し、シスコン?あの子そんなに私のこと好きって言ってた?」
「おめさん塔一郎の話題になると声のトーン変わるなあ。昨日もさ、弁当一緒に食ったんだけど、今日は姉さんなんです!って自慢してきて。すげー浮かれてたよ」
「うそ!本当に?新開さん嘘言ってない?」
「言ってない言ってない。うまそーだなって言ったら自慢の姉ですってよ。よかったな」
「わあ、塔一郎ってば…」
「確かにあの卵焼きは絶品だったよ」
「…新開さん食べたの?」
「一個だけな。美味かったぜ、いい嫁さんになるよ」
「そりゃどうも…」
「どう?オレと結婚してみる?」
「いやそれは」
「人の席でなァに口説いてんじゃねェヨボケナス」
「おっ靖友。今日の練習、寿一が用事で遅れてくるからヨロシクってよ」
「それ言いにきたのかよメールで言えよそれか東堂に言え」
「尽八には言ったよ。それに泉田さんと話したかったんだ」
「私は別に話したくなかったです」
「冷たいな。フラれたしショックだ。塔一郎に相談しよう」
「えっ?!塔一郎に?!そ、それはやめて!」
「なんで」
「塔一郎新開さんのこと大好きだからそんなことしたってバレたら怒られる…」
「お前はどんだけ弟好きなんだヨ」
「世界一かな」
「そうか…それは大変そうだな、靖友」
「オレに振ってんじゃねェヨ!」
「なに、荒北塔一郎のこと…」
「話をややこしくすんな!お前らもう黙ってろ!」


140107

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テーマ「人外ファンタジー」
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