「え、委員長彼氏いたの…」
「えへ、ごめんね報告してなくて」

教室に戻ってからは凄かった。
予鈴が鳴ったというのに皆席についておらず、入った瞬間のみんなからの質問攻め。
適当にそれを躱していたら手を繋いでることを指摘されて、慌てて振り払った。
これほどチャイムを待ち望んだのは3年間ハコガクに通っていた初めてだ。
先生が入ってきてようやくギャラリーがばらけて、その後に委員長と少し話せるようになった。
さっきのことで、私は東堂くんが委員長のことを好きなんだと思っていたというと、ないないと手を振る。
でも最近よく話しているところを見たというと、照れながら紹介してくれたのは自転車部の藤原くんという彼氏だった。

「前までは隠れて相談してたんだけど、付き合うようになってからは表立って話すようになったからそう見えたんじゃないかなあ」

幸せそうな笑顔で言われたら納得してしまった。これは完全に恋する乙女の顔だ。
授業を受けながら今までのことをいろいろ考えていると、じわじわとあの東堂くんと、八くんとお付き合いしているんだって実感がわいてきて、どうにもむずかゆくなってしまった。
ななめ後ろを見れば東堂くんとばっちり目が合って、自信満々な笑みにすぐに目をそらしてしまった。
前もこんなことあったな、あの時は東堂くんも驚いていたけど。
こんなことで照れるだなんて、私だって乙女じゃないか。頬の熱を冷ますように手で仰いだ。

授業が終わったら、アドレス帳の名前を八くんから東堂くんに登録を変えようときめた。
それから、帰ったらちゃんと電話もして。
今度はメル友じゃなくて、彼氏彼女としてメールしたい。
いろんなことを話して、もっと東堂くんのことを知りたいんだ。


「ななやまさん」
「ん、東堂くん…」

いつも通りカバンに荷物を仕舞う。
東堂くんはこれから部活、私は帰宅だ。
いつもより少し早く学校が終わったから、本屋さんに寄っていこうかな。
今度は近所のところで、あまり遅くならないようにしようと決めて、背中をぽんとたたかれ振り返る。

「これから帰りかね?」
「うん、そう。東堂くんは部活だよね。がんばって」
「ああ、がんばろう。それとだな、もし本屋に寄るのであればちゃんと早く帰るんだぞ?親御さんが心配する」
「わ、わかってるよ!」
「オレも心配だからな。じゃ、気をつけて」
「うん…ありがとう!また明日」

メールで言われたことを直接言っただけなのに、冷めたと思った頬がまた一気に熱くなった。
廊下に吹く風が気持ちいい。さて、暗くならないうちに本屋さんにいきますか。




ソウジュシン end
140127






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