「荒北ってさ、彼女いるってほんと？」
「ッハァ？！」
「えっ、そんなびっくりしなくても」
「悪ィ…じゃなくてェ、何ソレ」
「今噂になってるじゃん、荒北靖友に彼女がいるー！って…隣のクラスの子が言ってた」
「アー、その噂ねェ…（その相手お前ってウワサなんだけど、聞いてねェのかヨ）」
「なんだ、知ってるんだ」
「嫌でも耳に入ってくるし、東堂がうっせェんだヨ」
「で、そうなの？」
「いたら今こうやってなまえチャンと二人で話してるワケねーだろ」
「あ、そっか…」
「わかったァ？」
「うん……」
「ンだよその腑に落ちねェみたいなカオは」
「いや、なんか面白くないなって。あの荒北にも春が！って思ったのに」
「なまえチャンはオレに彼女がいてほしいワケ？」
「うん、だって面白いし」
「ハァ………（マジかよ）」
「ねね、好きな人とかはいないの？」
「アー…………いる」
「マジ！？」
「マジィ」
「だれだれ、仲いい人？」
「仲は…いいほうだと思ってっけど」
「えー！？私の知ってる子？」
「まぁ、知ってるな」
「荒北が私以外の女子と仲良さげに喋ってんの見たことないんだけど…」
「そーかヨ（なんでこれで気づかないワケェ？！）」
「…もしかして」
「何（気づいたか？）」
「あの、荒北、今からすっごい変なこと聞くけど、違ったらちゃんと否定してね？」
「お、オウ…（緊張すんな）」
「もしかして荒北って……」
「………」
「ほ、ホモ…とか？」
「ハ？」
「っ違うよね！違うよね！」
「違ッゲーヨ！！！マジなんなんだお前！ふざけんな！」
「ごめんごめん！そんな怒るとは思わな…イテッ」
「ハァア…緊張してソンしたわ」
「え？緊張？なに？」
「なんでもねーヨ（期待したオレがバカだった）」
「結局教えてくれないの？」
「教えるなんて一言も言ってねーだろ」
「協力するのに」
「ゼッテーしてくんねェからヤだ」
「なんで？私が嫌いな人だとか？」
「そゆワケじゃねーヨ、つか協力とかムリだし」
「ムリってなに！」
「じゃーお前オレに付き合えって言われて付き合うのかヨ！？ムリだろ！」
「は？！別にムリじゃないけ…ん？」
「アァ！？」
「あ、荒北って…もしかして私のこと…すきなの？」
「…………今更かよ」
「ごめん、その、まさか私だとは…思わなくて」
「別にィ」
「荒北…ごめんね？」
「謝ンじゃねーヨキメェ（つかそんな謝られたらマジで脈ナシっぽくて落ち込むんだけど）」
「あ、あの…荒北？」
「まだ何があんだヨ（これ以上傷口に塩塗るってのか）」
「その…け、結構…それ、うれしい…から」
「………ハ？」
「い、いやじゃないし、荒北と付き合うの、ムリじゃないから！じゃあ私急用を思い出したから！じゃあね！」
「ッオイ！逃げんじゃねーヨ！ンだよソレどゆ意味だよ！オイ！なまえチャァン！？」
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