隼人くんが女の子になってしまった。どういうことだかわからないとおもうけれど、私もさっぱりわからない。
女の子になった隼人くんはいつもよりは背が縮んだものの私よりは高く、かわいくて、胸もあって、ふわふわの髪の毛とかおっきな目とか、どうみても美少女だ。
元からイケメンだとは思っていたけれど、女の子になってもかわいいだなんて。正直負けている。敗北感しか感じない。
こんな体じゃ自転車に乗れるかもわからないし、ということで女子寮の私の部屋に隼人くんは潜入してきたわけだが、見た目が女子だとこうも怪しまれないのか。
よく見れば隼人くんと同じ顔立ちなのに、寮母さんですら気づかなかった。生徒数が多いから、知らない箱学生だと思われたのかもしれない。入寮していない生徒でも、同性の箱学生なら入っていいことになっているから。

「なまえの部屋ってこうなってるのか」
「男子寮とあんまり構造は変わらないんじゃないの?」
「間取りは左右反転してるだけだな。思ってたよりも片付いてる」
「思ったよりも、は余計だけど!」

隼人くんがベッドに寝転がる。隣に座った私は隼人くんの向こうのベッドサイドに読みかけの本を置いていたことを思い出し、そこに手を伸ばした。
隼人くんの体を上半身だけ跨ぎ、本を掴む。姿勢を戻そうとしたとき、隼人くんの手が私の脇腹を突いた。

「ひゃ!」
「はは」

はは、じゃない!ベッドの上で体を支えていた手を曲げ、そのまま隼人くんのお腹の上にダイブした。ぐえ、と声を漏らして、いい気味だ。
上から見たら十の字になっているような体制。男の隼人くんにはこんなことしないけど、女の子ならいいだろう。
そのまま隼人くんのお腹の上で本を読み始めると、隼人くんは頭の裏で腕を組んで目を瞑った。
名前を呼んでも反応がない、寝たのか?

「隼人ちゃーん…」
「………」

なんだかつまんなくなっちゃった。本を閉じて、元あった場所に置いた。体を起こして、隼人くんに寄り添うように寝転がりった。
顔の目の前にあるふくよかな胸が憎らしい。恐る恐るつついてみると、「ん、」と隼人くんの口から声が漏れる。
…いけないことをしているきがする。
なんだか恥ずかしくなって、目をつむった。








「…夢か」



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