もう全部やめてやる。毎晩手入れした黒髪だって高い化粧品買って手に入れた肌だって全部無駄だった。結局元から可愛い子がいいんじゃない。私がいくら頑張っても見てもらえないんじゃない。他の男が振り向こうとナンパしてこようとあの人だけを思って見てきたのに結局あの人は一度たりとも私のことを見なかった。最初から眼中になかったのだわ。髪を乱し化粧の落ちた夜の教室の窓ガラスに写る私は本当に醜くてこんな子をあの人が好きになるわけないって、すごく実感した。私って本当に汚い女だわ。あーあ、サイアク
「む?人が…なまえか。何かあったのか、そんななりをして」
そんななり?やっぱり私って醜くいのね。東堂くんが言うならきっとそうなんだ。だって私醜いから。東堂くんは綺麗だもんね、美しいもんね。
「…せっかく綺麗な肌なのに、引っ掻いたのか?血が滲んでいるぞ、消毒せねば」
私がいくら綺麗な肌になろうとあの人は見てくれない。服の上じゃ見えないところまで全部全部綺麗にしてるのに全部全部無駄だった。伸ばした爪だってネイルだって、遠くからじゃ気付かれないんだもん。
「なぜそんな顔をする。美人が台無しだぞ」
そういって私の頬を撫でる東堂くんは何を考えてるのかな。私が美人なんてよく言うよね。バカらし。切れた唇をなぞる指も私を見つめる眼差しも私とは比べ物にならないくらい綺麗で輝いてる。そんな君に綺麗だとか言われても何も感じない。だからねえなんで、どうしてそんな顔をするの。
「泣きたいなら泣けばいいじゃないか。涙は止まるからな。だが傷をつけるのはならんぞ。跡が残るかもしれない。こんなに綺麗なのに。そんなの、オレが許さんぞ」
抱きしめた東堂くんは本当に綺麗で美しくて、私なんかに触れていたらその汚れが移ってしまうんじゃないかって心配だった。だけど東堂くんの美しさは私なんかじゃけがせない。私なんか取るに足らないってくらいの美しさで全部浄化してしまうの。ねえ、東堂くん。私ちゃんと泣けてるかな?
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