言い逃げクリスマス〜遠距離恋愛編〜のつづき


今年ももう終わり。
私と尽八くんは、東堂旅館VIPルームで寛いでいた。
二泊三日とも尽八くんの部屋で泊まれるようになったのは、お姉さんの協力が大きい。
仲良くね、と尽八くんそっくりな顔でウインクされたときにはどきっとしてしまったが、今はそれ以上にドキドキしている。
なんてったって、彼氏と初めてのお泊まりなのだ。
下着はお風呂に入った時に一番可愛いのを上下揃えでつけたし、体も念入りに洗った。
なんとかなってしまっても大丈夫。準備はできているものの、心はまだ落ち着かない。
あと10分で今年が終わる。
テレビではカウントダウンのアイドルの番組が始まった。
キラキラ画面の向こうで輝く彼らはかっこいいけど、やっぱり隣の尽八くんが一番かっこいい。
ほどなくして、デジタル時計の画面が現れる。
カウントダウン。あと10秒、というところで腕を引かれた。
尽八くんを見るとすぐに距離がなくなって、キスしてるんだなとわかる。
目を閉じると髪をすかれた。
テレビには新年を祝う言葉。
年越しなにする?って、キスしてる。私たち。
長いキスに痺れてきて空気を取り入れようとすると、髪をすいていた手に力が篭り頭を抱えるようにされた。
一層近づいて、パズルのピースが合うように口付けられる。
隙間から何かが入ってくるのを感じて体温が上がった。テレビの音よりも、水音が大きく聞こえる。
角度が変えられて、絡まる。
私は尽八くんのパジャマ替わりの浴衣をつかむだけで精一杯だ。
体重が乗せられて、堪えられなくなった。
後ろに布団が敷かれている。計算してたのかな、なんて。

「はぁ、」
「じ、んぱち…くん」

冷えたシーツの感覚。尽八くんの浴衣ははだけていて、自転車で筋肉のついた胸元からお腹が見えている。
暖房がついてるにしても、寒いんじゃ。それより、私が見れない。

「好き、好きだぞ」
「あ…わたし、も」

もう一度キスをした。私、いま世界で一番幸せだ。



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