自転車部の部室はなかなか広い。
が、機材が幅を取るから、どれだけ広さがあっても足りず、たくさん置けるように上の方にも棚が設置されていた。
そのため、背が低い部員はいつも苦労する。
マネージャー、みょうじもその一人だった。
副部長の東堂に探してくれと言われた去年の大会記録のファイルがいくら探しても見当たらない。
たしか、古いファイルはあまり使わないから高い所にしまってあるって言っていたはずだ。
低いところをスルーして、一番上の棚から探しているのだが、その年度の並びにはピンポイントにその大会のファイルだけが抜けていた。
部室の隅にある脚立を広げて探し始めてもう10分が経つ。
そろそろ応援を呼んだ方がいいだろうか。
そう思い始めた頃、部室に東堂が入ってきた。

「みょうじちゃん、どうだ?見つかりそうかね?」
「それが、全然。このあたりのはずなんだけど…」
「なに、じゃあオレも探そう。変わるよみょうじちゃ…」

東堂の声が不自然な部分で切れた。
長時間の脚立での捜索は大変だろうと近寄ったのだが、まさかこんなことになるとはと東堂は咄嗟に目を逸らす。
何も言わなくなった東堂を不思議に思いみょうじは東堂を見下げると、こちらを見上げる真っ赤になった顔と自分を見ていながら見ていない。そんな目線。
いつもは見上げる顔が下にあるというのは、異様な感じがする。
それを差し置いても、東堂の様子はおかしかった。

「…ん?」
「すすすすすまないそんなつもりじゃなくてだな、まさか、その」

何の話?
東堂のどもりようが理解できずみょうじは首を傾げる。
そして、少し考えてからはっとした。
私まだ制服じゃないか。ていうかスカート。
しかも、今日に限って下に短パンを履いていない。
きっと東堂はスカートの中身を見てしまったのだろう。
ちょっと見られたくらいなら減るものじゃないし、慣れた相手だから気にすることもないのだけど、そんな露骨な反応をされると逆に恥ずかしくなってしまい、二人して真っ赤になったまま動けずにいた。

「あれー、東堂さん、みょうじさん?」

しばらくしてなかなか帰ってこない東堂を心配して、というか新開に頼まれて見に来た葦木場によって目的のものは見つかるのだが、それ以来東堂とみょうじの距離は縮まったとかそうでなかったとか。

140128



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