私の彼氏はすごく紳士だ。
自分でも言っているが女の子の扱いが上手で、常に優しい。
ちょっと自信過剰なとこはあるけど、そこもかわいい。
モテるだけあっていい男で自分で言えるくらいの美形。
私には全くもって勿体無いくらいの彼氏で。だからこそ不安になったりもするのだ。
私のこと、本当に好きでいてくれてるのかなって。
私は彼にどきどきしっぱなしだけど、向こうはどうなんだろう。少しくらいドキッとしてくれてるのかな。
それを検証すべく、私はいくつかの作戦を決行した。



作戦1。いつもよりスカート丈を詰めてみる。
ちょっと大胆すぎるかな、というくらいに。
下は勿論見えていいのを履いてるけど、結構恥ずかしい。
これで尽八くんがドキっとしてくれたらいいのだが、さてどうだろうか。

「む、なまえちゃん。スカートが短くないかね」
「うん、ちょっと今日は短くしてみた」
「…体が冷えるから、あまり好ましくないな」

どうやら尽八くんはミニスカートが苦手らしい。
体が冷えるからと言葉は気遣っているものの、尽八くんの眉間には珍しくシワができている。
ロンスカ派なんだろうか。仕方なくスカート丈を元に戻すと、よし!と指を差された。
彼は満足そうだが、私的には…そんなに足が醜かったのかと。そう訊ねたくなった。



作戦2。シャツのボタンを外してみる。
あつういと言って第二ボタンまで外してみた。
いつもならキャミソールが見えるけれど、今日はキャミソールを着ていない。
作戦とはいうが実際暑かったので、ボタンを外すと体に直接風が流れ込んできて気持ちがよかった。
悩殺云々を忘れてパタパタとシャツを仰ぐと、尽八くんが寄ってきてボタンを閉めた。
男女でボタンの向きが違うのは、男性が女性のボタンを留めやすくするらしい。
その時はすごいなとしか感想を抱かなかったが、今こうしてそつなく留めているのをみると、やっぱり留めやすいんだなぁと思った。

「だらしないぞ、それに下に何も着てないだろう」
「う、うん」
「暑いならアイスを買ってきてやろう。だからちゃんと服は着るんだぞ?」

子供に言うように、小首をかしげて言われたら言い返せない。
留められたボタンは上まで締まっていて正直暑いけど、わざわざアイスを買ってきてくれた尽八くんを見ると外す気にもなれなかった。



作戦3。さりげなくパンチラ作戦。
これは結構恥ずかしかった。
自然な会話の流れを作り、いじけるようにして椅子の上で膝を抱える。
いつもは下にはいているけれど、今日はパンツだけだ。
すぐに尽八くんは気づいて、頬を赤くしてぱっと顔を逸らした。

「なまえちゃん、下着がみえているよ」
「えっ、ほんとだ」

我ながら白々しい。尽八くんは下に履くのを忘れてきたのかと気にしている。
彼女のパンツを見たのに、照れはしたもののちょっとも興奮してる様子はない。
もしかして、私ってそんな魅力ナイのか?
悩みながら尽八くんのお説教を聞き流していたら、ちゃんと聴けと頬を掴まれて顔を固定された。
…かっこいい。
いやいや、私がときめいてどうすんの!



作戦4。コレが最後の作戦だ。
さりげなく胸を押し当てる!あまりふくよかとは言えないが、感触がわかる程度にはあるからなんとかなる。
廊下を歩いている尽八くんを見つけるとさっと寄っていって、腕を絡めた。
どうした?と穏やかな笑みを浮かべる尽八くんがかっこよくて、口元がにやける。
いやいや、私には作戦4があるんだ。今度はときめかされないぞ。
ブラウスと下着越しに胸を当てると、分かりやすく腕がビクンと反応した。
お、これはなかなかの良反応。
もっと近づいてむにゅと寄せてみた。尽八くんの耳は赤い。いけるんじゃないか。

「なまえ、やめんか」
「尽八くん?」
「はしたないぞ。こういうことを学校でするんじゃない」

あっさり引き剥がされてしまった。
しかもその後私を置いて、早歩きでどこかへ歩いていった。
…やっぱり私、魅力ないの?
ため息を吐く。何でダメなんだろう。
色気がない。好みじゃない。ガキっぽい。
自分ではそんなことないと思うんだけどなぁ。
…また雑誌を見て作戦を立てよう。懲りないな、私も。
取り残された私は教室へと戻った。










「あーもうダメだ!あんなことされたら!オレ!理性が保てんぞ!」
「みょうじちゃんも大胆なんだな、意外」
「あんなに穏やかでかわいいのに、魔性の女だぞあの子は!付き合ってるのがオレでよかった。オレじゃなかったら、すぐ食べられてたぞ!」
「でも今尽八も結構危ういだろ?」
「そうなんだよ!男なら誰でも堕ちるぞ、あれは…」
「へえ、じゃあ試しにオレもしてもらおうかな」
「それは許さん」
「じょ、冗談だって(目がマジだ)」


140105



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