千鶴と出会ったのは俺が3歳の時だった。物心ついたときから俺と千鶴は仲良しで、幼馴染というやつだったから、どうしてここまで仲良くなったのかは覚えていない。こんな俺と千鶴がここまで仲良くなったのは何故かと、考えたことがある。とはいっても本当に少しだ。俺は仲良いとか幼馴染とかにこだわるつもりはない。でも何故ここまで仲良くなれたか少しだけ気になったのだ。けれど、小さいころの記憶なんてなかなか思いだせないものである。俺の記憶の中には、千鶴と公園でブランコや滑り台、子供たちが大喜びしそうな遊具で遊んだ記憶しかないのだ。でもまてよ、確か俺が小学生のころ千鶴の家にお邪魔させてもらった気がする。その頃から多分、お互いの家に出入りしてたんだと思う。俺の部屋はそれはもうきったなくて人を呼べる状態じゃなかった。(ついでに言うと勉強なんてものも出来る状態でもなかった。)でもやっぱり千鶴は部屋がすごく奇麗で女の子だった。そんなところと優しいところ料理がうまいところ頭が良いころ、そんな千鶴の全部から俺は千鶴を好きな女の子、として意識しはじめたりした。今はもう千鶴は幼馴染、ではなく好きな人、なのだ。幼馴染から好きな人になることは駄目なことじゃないと思うし、むしろ普通の事だと思う。でも俺は伝えられずにいる。これを伝えてもし俺たちの関係が変わったら、もし千鶴に変な風に思われてしまったら、そんなことを考えてしまうのだ。こんな時左之さんだったらこんな風に余裕にやってのけちまうんだろうな、とか総司だったら女の子に対してはこんな風に軽い対応ができちまうんだろうな、とか考えると俺は何て弱い男なんだ、と思う。はじめくんは別だ、あの人は恥ずかしがり屋なんだよ。未だに千鶴の事を雪村なんて呼んでるんだぜ、もうはじめくんだって千鶴と会ってから3年はたってるのに。そんな事を考えながら家までの道をただぼうっと歩いていた俺が、ふと前を見ると今まで俺の頭の中をぐるぐるしていた千鶴がいた。あんなに手を振り回して、とれたらどうすんだよ、なんて思って笑ってしまった。これからもこの千鶴の笑顔が見れるなら、この思いはずっと伝えないでおこう。もし、何かきっかけがあったなら、その時には俺は勇気を出して告白しよう。



(千鶴に好きだと伝えるのはまた別のお話)


20110402 / 確かに恋だった

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