「千鶴ちゃん、はい」

僕は巡察から帰ってきたら、まっすぐ千鶴ちゃんのところへ向かう。千鶴ちゃんへのお土産を渡すために。とは言っても毎回買ってくるっていうのは僕も無理だから、その時はおみやげ話を持って行ってあげるんだ。今日は千鶴ちゃんの好きなお団子を持って行ってあげる。喜んでくれるに決まってるよね。

「わあ、沖田さんありがとうございます!」

「ううん、いいよ。あ、お茶お願いしてもいいかな」

「はい!少し待っていてください」

ほら、喜んでくれたじゃない。千鶴ちゃんは優しいからどんなものでも喜んでくれるんだ。でもたまに優しすぎるんじゃないかなあって思うこともあったりする。

「あ!総司じゃん!」

「平助じゃない、どうしたの」

「通りがかっただけー」

「そう、じゃあね」

「うわっ!冷たい!」

冷たいなんて酷いなあ。ていうか、千鶴ちゃんが戻ってくる前にどっかいってくれない?

「あ!なにそれ!うまそうじゃん!」

「ああ、僕が千鶴ちゃんのために買ってきたんだよ」

「ふうん。そういえばさ、総司結構な頻度で千鶴に土産かってるよな」

「うん、そうだね」

千鶴のこと好きなのか、なんて聞いてくる平助は本当に馬鹿じゃないの。嫌いだったら、殺すつもりだったらこんなことする訳ないじゃないか。

「さあ、平助。千鶴ちゃんが戻ってくる前にあっちへ「あ、平助くん」

ほら、戻ってきちゃったじゃないの。あ、でも考えてみると今僕が動くことで、小さな平助除けになるかなあ、なんて。

「千鶴、」

「は、はい!(千鶴って…!)」

「お茶ありがとう。お礼に僕が食べさせてあげるよ、ほら」

「え、あ!自分で食べられますから!そっ、それより、平助くんの分のお茶も持ってきますっ!」

「お、ありがとなー!」

みんなで食べましょうよ、なんて言いながら千鶴ちゃんは立ち上がるけれど、僕がそれを止めるように、千鶴ちゃんの着物の裾を掴む。そしたら千鶴ちゃんは流れでよろけるわけで。

「沖田さん!すみません」

「いいよ。だから、ほら早く座ってよ。平助の分はないよ?」

「ひでえ!」

うるさい平助は無視して、お団子の包みを開ける。食べさせてあげることに対してさっきは千鶴ちゃんにやめて下さいなんて言われたけど、そこではい分かりましたなんて言う僕ではない。

「じゃあ、気を取り直して。はい、あーん」

「えっあ、やっぱり恥ずかしいですよ」

「いいから」

「…わっ、わかりました!あ、ん!」

見た?平助みた?可愛いねえ。僕は千鶴ちゃんをこれくらい想ってるってことだよ。

「うわー、総司見せつけかよー!ずりー」

「なら、平助も次からやれば?まあ、僕が見つけたら君のこと斬るけど」

「見つかんねえようにやるよ!」

見つかんねえように、という台詞を吐いて平助はどこかへいってしまった。まあ、僕からしたら、嬉しいんだけど。

「沖田さん、今日もありがとうございます。恥ずかしかったですけど、美味しかったですよ…!」


千鶴ちゃんは素直に感謝の気持ちを述べる。素直すぎるけれど、そこが千鶴ちゃんのいいところで魅力なんだろう。あげる側だってそんなに素直に可愛く言われてはかなわない。だから僕はいつも千鶴ちゃんに何か小さなことでもしてあげたいと思うんだよ。だからね、千鶴ちゃん。僕が君の面倒をみてあげるから、他のやつらなんて気にしたりしないでよね。


(なあ、土方さんー)
(何だ)
(総司は千鶴が愛しいんだって)
(知ってるよ)
(!?)


20000打リクエスト / りなさまへ
遅くなってしまい申し訳ありません…!そして、リクエスト通り書けているでしょうか…屯所時代の沖千で甘いのを目指したのですが、何だか中途半端な気がしないでもなく。五人全員出せたらと最初は考えていたのですが、代表で平助だけになってしまって申し訳ないです。
それでは、こんな感じですがりなさまに捧げます。リクエスト有難うございました!もし文章について何かありましたら拍手またはメールからどうぞ。

20110402
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