「沖田先輩、卒業おめでとうございます」

「うん、ありがと。千鶴ちゃんのこと待ってるからね」

「はい、今まで有難うございました。あの、最後に沖田先輩のボタン頂けますか?」

「あ、ごめん。もう無いんだ。でも、」

「そうですか…」

「僕の心はまだ誰にもとられてないよ!千鶴ちゃんの為にとっておいたよ」

「お、沖田先輩!私も好きです、ボタンなんかより先輩の心がほしいです」




「ってことが全然なかったんだけど、どういうことなのはじめくん」

「千鶴はきっと別の男が好きなんだろう」

「そんなわけないじゃん!途中まではいけたんだよ!ほらみてボタン全然ないでしょ?」

「それはお前だから当たり前だというか。まあ俺もこの通りだが」

「そんなのどうでもいいんだよ、僕は千鶴ちゃんがいればいいんだよ」

「残念だったな総司。ん、千鶴が風間と仲良くしてるぞ?」

「絶対ない、それははじめくんの見間違えでしょ?千鶴ちゃんは風間苦手だって言ってたよ。ていうか卒業したのになんで僕たちここにいるの」

「恋しいわが母校。…ていうか卒業してないんだがなボタンも見ろこの通り。全部ある」

「え、さっき無かったじゃない。どういうことなの」

「こういうことだ、千鶴は俺の彼女だ」

「はああ!流れ意味分かんないし!それは絶対駄目!」


ぜったいだめ、という自分で発した言葉で目が覚めたこの時点で時刻は8時20分。完全に遅刻の時間である。僕は夢を見ていたようだ。でも夢で本当に良かった。何てリアルなんだろうか、あの千鶴ちゃんが風間と一緒にいるところを見たら僕はおそらく不登校になる。とまではいかないが土方先生に当たり散らすと思う。でも夢だったのでそんなことも無くなったわけだ。土方先生感謝してよ。とにかくこんなことをしている場合ではない。急いで学校に行かなくちゃ。おはよう一日、行ってきます我が家。朝ごはんは今日も抜き!


夢の中で卒業
(総司、今日も遅刻か)
(今日もって何、ひどいんじゃない)
(本当のことを言ったまでだ)
(ていうかはじめくん、千鶴ちゃんは渡さないからね)
(寝ぼけているのか?…とにかく早く教室へ行け)


20110202



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