そうして、彼女と出会ったわけだ。名前、聞いておけばよかったなあ。また来てくれるといいんだけど。よし、決めた!オレ、あの彼女がもう一度このコンビニに来てくれるまで真面目に仕事する。

そう決意して、早4日が経つ。が、彼女の姿を見ることは出来ていない。

「どうしたのかなあ、もしかしてもう来ねえんじゃ…!あああ、有りえねえええ失恋か…」

もう諦めきっていたときだった。彼女が、このコンビニに来たのだ!ああ神様!ありがとうございます、このご恩はいつか!そんな事を頭の中で考えつつ、今日こそ彼女に名前聞くんだと気合を入れて彼女がレジに来るのを待った。

「すみません、これでお願いします。」

きっ、来た…!ど、どうしよう!なんて声かければいいのだろう。普通にお久しぶりです、か?いや、そんなの店員と客との関係には可笑しい。それじゃあ、いつもありがとうございます、か?しかし、言うほどいつもなんて来ていない。うわああ、オレなんてヘタレ?

「あの、」

「あっ!えっと!すいません!」

「ふふ、この間もこんな感じでしたね」

「え、あ。はは、すいません」

「いえ、構わないんですよ」

と、彼女は微笑む。ああ、可愛い。オレこの女の子と恋できるんだったらどうなってもいい。でもそんなの叶うわけない、よなあ。だって思いっきりオレの片思いだぜ?ああ、願わくば彼女をオレの彼女に。そ、そうだ!まずは名前を聞かないとな!

「あの…!いきなり失礼ですが、お名前聞いてもいいですか?」

「えっ、名前、ですか?雪村千鶴、と申します。」

千鶴かあ、可愛いなあ。名前を聞けたのは良い、けれど名前を聞いてしまうと、この先もっと深くまで聞いてしまいたくなる。どこに住んでるの、アドレスは、学校は。知りたいことはたくさんあるのだけれど、ここで全て聞いたら絶対に彼女は気持ちが悪い、と思うだろう。だから、そんなことは絶対に出来るはずがない。だけどせめて…

「あの!もしよろしければ。オレとお友達になりませんか!」

友達からなら良いよな?
ここからオレは頑張って彼女と青春するんだ!そう心の中で固く決意した。そして、総司に自慢してやる!



(と、友達ですか?)
(駄目、ですか?)
(いっ、いえ!いいですよ、よろしくお願いします。)
(こ、こちらこそ!)


20110108
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