(平助と幼馴染の男の子)


幼馴染が突然カッコ良くなってしまった、なんてことはありませんか。
もし、貴方がそれを目の当たりにしてしまったら、どう反応しますか。
俺はどうにもできませんでした。

これは、三日前の話なのです。俺の幼馴染、藤堂平助のお話をしようと思います。
平助と俺は幼馴染で、今まで同じ小学校、中学、高校と行ってきました。勿論俺も平助も進学希望だから大学に行くわけで、なんとなあく俺と平助は同じ大学に進んだんです。そして、その三日前が入学式でした。まあ、多分入学式にはスーツ…だと思うんですよ。だから、俺たちはスーツにしようなんて話して三日前の前日の前日、つまり五日前の夜に別れたんです。そこまでは良いんですよ!全然いつも通りですし、問題ありませんし!そのあとです、その三日前の朝、平助はスーツ、俺もスーツ。まあ、幼馴染なんていつも見てるんだから、どんな風な服着たってどんなに髪染めたって、どんなにカッコつけたってどうも思わないと思った訳なのです。しかし、ですよ。思いっきりカッコ良くて惚れそうになりました。


「え、っえ?え?えっと、平助、くん?」
「おっ、おう!おっはよー今日入学式だなあオレ不安だよー」
「お、おう。そうか…ていうかお前頭染めたの?」
「おう!どう似合う?昨日染めたんだー!」
「へ、へえ。俺も染めちゃおっかなあ?」
「おー!いいんじゃねえ?オレもてるかなって思ってさー!」


お前は今俺という男にもてているので安心していただきたい、とは口が裂けても言えないので黙っておきます。俺たちはそっちの方は無いですから。


「あ、そうだ聞いてくれよー」
「お、おう。ど、どうした?」
「何か、今日ここまで来る途中でさ、」
「おう」
「可愛い女の子と会ったんだよー!オレたちと同じ大学の説明の紙持っててさ。だから一緒に行こうぜ、って言ったんだけど大丈夫ですって言われちゃってさー!」
「振られてんじゃん」
「ばっか!それは言うんじゃねー!」


とにかくスーツをきてカッコ良くなってしまった平助は朝からテンションも高く、一人で盛り上がっていたりするようで。俺はある程度平助のノリについていきましたが、イケメンな平助が目の前にいると何だが落ち着かなくていつもの調子が出せなかったりもしてしまったのです。


「なんかさー」
「おう!なんだ!」
「お前、急にカッコよくなったよなあ」
「え?そう?」
「おー。まじお前それ女の子にモテモテだよー。俺置いていくなよなー!」
「大丈夫だって!オレ今お前より大切なヤツいないし!まじオレお前だけだぜ!」
「へ、いすけ…!俺もお前しかいねえよ…!」


確かこんな流れで入学式に向かったことは覚えています。本気で平助を良い奴だと思った瞬間でした。

イケメンになって大学生になったのはすっごく腹が立ちますが、何だかイケメンなヤツの隣を歩いてるのは気持ちは良いです。俺は、こんなかっこいいやつと友達なんだぜーとか、うらやましいだろー!とか。でも一番嬉しいのは俺の事を分かってくれている親友と一緒に並んで歩けることです。だから幼馴染が急にカッコよくなったって俺は気にしないことにしてやります!優しい俺。


俺の幼馴染がこんなにイケメンな訳がない!
(俺も髪染めようかな…)
(おー!お揃いにしようぜー!)
(平助え…!)

20110521

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -