今日はわが校の文化祭の日である。 みんな自分の持ち場についたりで忙しく、相手をしてくれる人がいない。 「千鶴との約束まであと30分もあるのかー…」 そう、オレは今日千鶴と文化祭まわる約束をしたんだ! 同じクラスだから一緒だろって思われるかもしれないけど、2人だけでまわるっていうのはまた全然違った楽しみがある。 総司とか一くんとか敵はいたけど、頑張って千鶴と約束した。 ていうか今回は二人とも忙しくて、千鶴と会えなかったみたい。 こういうとき同学年っていいなあって改めて思う。 「取りあえず自分のクラス戻って千鶴と遊んでようかな…」 何故今オレがこうやってブラブラしていられるかっていうと、もちろんサボリ、ではない。自分の持ち場が落ち着いたから、休憩を兼ねてまわりを見物しに来たわけで。 「あ、平助。何してるの?」 「うわ!総司!なんでこの階にいんの!3年は上だろー!」 「別に良いじゃない、それはそうと千鶴ちゃんは?」 「え、千鶴ならクラスにいるけど。」 「そう、ありがとう」 「えちょ!なんで!千鶴に何か用?」 「うん、ちょっとね。気になる?」 「い、いや。別に…」 この流れはもしや、一緒に文化祭まわらないかのお誘いの流れじゃないか。 そしたらオレが思い描いていた二人だけのコースが台無しになってしまう。 「…なあ!総司!」 「どうしたの」 「もしかして千鶴んとこに今日のお誘いに行く、とか?」 「やっぱり気になるんだ?」 「う、うるせー!でも残念だったな!千鶴はオレとまわる約束してるんだ!」 とは言ってみるが、総司には通用しないってことくらいわかってる。 いつもそうだもんな、これであいつが引いたら奇跡に近い。っていうか奇跡だ。 「ふーん…そっかー。じゃあ今回はあきらめようかな」 「えっ?まじでいってんの?総司らしくねー!」 「なにそれ、まるで僕が優しくないみたいな」 「いや、だってそう…」 この先を言ったら殺される、そんな気がしたからここでいうのをやめた。 なんか今日の総司は可笑しいが、その辺は気にしない方がいいのかもしれない。 「あ、ありがとうな」 「何のお礼?じゃあ、僕は行くから千鶴ちゃんよろしく」 「あ、ああ!任せろ」 「っていうことがあったんだけど、千鶴どう思う?」 「えっと、それは…」 「?まあいいや!今を楽しもうぜ!」 文化祭後の秘密 (なあ…千鶴。あとで総司から聞いたんだけど、文化祭終わった後総司と飯食いにいったんだってなー…) (え…っと、そんな感じか、な) (だよなー…総司があそこで引くなんておかしいと思ったんだよくそっ) 20100909 |