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『待ってて、直ぐに救急箱持って来るから!!』




涙を拭いて立ち上がる





私は雨で体が重くなるのにも構わず走り出した





家から救急箱を取って兄さんの元へと急ぐ




『兄さん』




声を掛けるとゆっくりとこっちを向いた




『手当てするから…屋根のある所まで移動しよう?』




『あぁ』




兄さんを支えながら雨が当たらない場所まで移動する





『………』





『………』





手当て中はお互い無言だった





何を話したら良いのかもわからず混乱していた




私には分からなかった



何故兄さんはダディを殺そうとしたのか



どうして…?



でもそれを聞く事は憚られた




兄さんの表情があまりにも真剣で、手当てをしていても心ここにあらずという感じだった




『終わったヨ』




『………』




声を掛けても返事は無い




『兄さん…?』




『ありがとう、神那』




兄さんはそう言って立ち上がった





『兄さん!まだ傷が!!』




いくら夜兎だからといってもこれだけ重傷だと命が危ない




『大丈夫だよ、こんな傷』





『でも、』





『本当に平気だって。ちょっと出掛けてくる』




兄さんはそれだけ言ってフラフラと何処に行ってしまった







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