『ダディ止めて!!兄さんが!!』
兄さんに止めを刺そうと思い切りうでを振り上げたダディの足を掴む
もう片方の足には神楽が涙を浮かべながら必死に縋りついている
『パピー駄目アル!!兄ちゃんが死んじゃう!』
『っ!…神那、それに神楽』
我に返ったダディには片腕が無くなっていた
『ダディ、腕が…』
『何これくらい平気だ』
『パピー…』
ダディが正気に戻ったのを確認して急いで兄さんの元へ走った
『兄さんっ!!』
兄さんの周りは血でいっぱいで鉄の匂いに気が遠くなりそうだった
『かんな…』
『兄さん!?大丈夫!?』
まだ意識が残っている様だが出血が酷い
兄さんは私の方へ手を伸ばした
『な、に…ないてんの』
兄さんの手が私の涙を拭う
その手付きがあまりにも弱々しくて更に涙が溢れ出る
『だってっ…兄さん、血が』
『はっ、俺は死なない…だから、泣くな』
そうは言うものの顔からは血の気が引いて色白の肌がさらに真っ青になっている
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