1
帝光中学校入学式
そこに一際目立つ人物がいた
中学生とは思えないほど高い身長
紫の長髪
しかし彼が目立つ理由はそれだけでは無かった
彼の腕の中にいる小さな少女が原因でもあった
彼の腕の中で大人しくしている少女はチョコレートブラウンの色をした長い髪をサイドに分けてツインテールにしている
まだ幼い印象を受けるものの、大きな瞳、柔らかな髪、色の白い肌、形の良い唇
西洋人形の様なその姿に誰もが目を奪われた
その小さな唇で言葉を紡ぐ
「あっくん、同じクラスになれるかなぁ…?」
「うーん…どうだろ」
あっくん、もとい紫原敦は少女を抱えていない方の腕でお菓子をポリポリと食べていた
他愛のない話をしながらクラス表のある所までゆっくりと歩いて行く
…ゆっくりと言っても彼の歩幅では他人より大分速いのだが
[
prev next ]