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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -
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小さな声で呟いたため紫原は聞き取れなかった様だった





「…あの人、私の事好きって」




「…何それ」




「もちろん断ったけど」




「ふーん…」





不機嫌になった声色に千代子は早く帰ろうと腕を引っ張った




が、紫原がそれを拒んで千代子の腕を掴んだ





「あっくん…?」




「ねぇ、千代子」





紫原が千代子の名前を呼ぶ時は大事な話がある時だ




「な、何?」




「千代子は俺の事嫌い?」




「ううん、急にどうしたの?」





何時になく真剣な紫原の表情にドキンと胸が高鳴った




じゃあ、と続ける紫原




「この先千代子が他の男に取られるのすっげー嫌だから俺と付き合って?」







暫く固まっていた千代子に紫原が目の前で手を振ってやっと我に返った




ようやく言葉の意味を理解した千代子





いつもとは違う眼差しに嘘じゃないという事も




顔に熱が集中していくのがわかった




「あ、う…あ」




予想外の事で声が出ず口をパクパクと動かすだけになってしまった




さっきの告白とは全く違い鼓動が煩い




「俺と付き合うの、嫌?」




ふるふると首をふる




「いや、じゃ…ない」




「ちょこちん顔真っ赤ー」




赤くなった顔を見られまいと手で覆おうとしたが紫原に阻止され上を向かされた




「うー…見るなぁ」




薄らと瞳に涙が浮かんでいている




「かわいいー」





紫原は千代子の顔に近づき





ちゅ…





おでこにキスを落とした




「な??!!ななな…!」



おでこを押さえ顔を更に真っ赤にさせて紫原を見る



「好きだよ、千代子」




「…わ、私も…すき」





小さく呟いたけれど今度は紫原に届いた様で嬉しそうに笑った





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