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「も、もう青峰君のことはいいよ!…あ、そう!!ちょこちゃんと彼氏君はどっちが先に告白したの?」
さつきはこれ以上青峰の事を聞かれたくないようで、いきなり話を逸らした
千代子はそれに気が付いていたが敢えて踏み込むのを止めた
体育館から視線を外し作業に戻る
さつきはクラスメイトとは違って言いふらしたりはしないだろう
そう思いさつきの質問に答える事にした
「じゃあさっちゃんにだけ特別に教えてあげるー」
「本当?」
目をキラキラさせたさつきに千代子は笑みを深くした
「うん、告白を先にしたのはあっくんからだよー」
これは今から2年前に遡る
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桜散る季節
道がピンク色になっていてとても趣き
深い
卒業式には良いシチュエーションである
だがこれは千代子たちの卒業式ではない
6年生の卒業式のため5年生も出席しなければならなかった
紫原のクラスが後片付けを任されているため一緒に帰る千代子は終わるまで自分の教室で待っていた
窓際の席に座り外の様子を眺めていた
自分たちも来年はああなっているのかと何となく物思いにふけっていた時だった
不意に廊下から足音が聞こえた
紫原が帰って来たのかと思いドアに目を向ける
が、そこに立っていたのは知らない人
格好からして卒業生だろうという事がわかった
しかし此処は5年の教室
卒業生が一体何の用だろうか…
この教室にはもう千代子一人しかいない
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