3
まず、二人はドリンクを作るため容器を持って水道場に向った
千代子は大量の容器を眺めしみじみと言った
「これって容器の中身が空だから軽かったけど、ドリンクを作ったら凄く重くなるよねぇ」
千代子の言葉にさつきは苦笑いを浮かべた
「…うん、そうだね」
しかし休憩時間までまだまだある
さつきは千代子を励ますため、明るく声を掛けた
「大丈夫だよ、ちょこちゃん!!まだ時間はたくさんあるし、何回かに分けて運べば直ぐに終わるよ!」
「…うん、だよね。頑張ろう、さっちゃん!!」
千代子は気合いを入れ直しドリンク作りに没頭した
さつきは容器を水洗いする係
千代子は洗った容器に粉剤を入れドリンク作りをする係
これは意図的な物ではなく、自然とそうなった事だった
千代子はまだ、さつきの料理が壊滅的だと言う事を知らない
それを知る事になるのはもう少し先の話だが…
千代子のお陰で部員達の身安全だった
数分後、無事任された分のドリンク作りを終えた
「ふぃ〜」
後はこれを体育館に運ぶだけだ
「じゃあ、運ぼうか」
「そうだねぇ」
ドリンクの入った籠を持ち上げてみるが、千代子の力ではびくともしない
「も、持ち上がらないー」
見ていたさつきは微笑みながら籠の中から数本ドリンクを取り出した
「一気に持っていかなくても大丈夫だよ。何回かに分けて行こう?」
「…うん」
わかってはいたが、ちょっとだけガッカリした
昔よりは力が付いていたと思っていたのに、あまり変わってい無かった
(毎日筋トレしてる筈なのになぁ…)
千代子はそう思いながらも籠の中からドリンクを取り出した
[
prev next ]