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桧山かなめという人間は私が雄英高校に入学するまでに作った作品だ

ゲームの中に出てきたキャラクターや本などで得た知識の中でどういった人物が目立たず、円滑に人間関係を築くことができるのか
自分なりに考えて形成した

無表情よりは笑顔で、気難しいよりは気さくに
勉強は出来過ぎよりは適度に
相手の印象に残らないようになるべく会話の中心になることは避ける

これらの事を意識し、雄英の入学に間に合うようした

これが幸いしたのか、私の作った桧山かなめは意外にもクラスに溶け込んだように思われた

相澤さんからも違和感を訴えられたことは無かったし、問題は無いと思っていたのに

どうして気付かれてしまったのだろう
爆豪とはそこまで関わりはなかったはずだ

あの時の私は上手く躱すことが出来ていただろうか

爆豪にバレたとしても他のクラスメイトに言いふらすような事はしないとは思うけれど、今後の身の振り方について考えた方がいい様な気がした

今は爆豪だけが違和感を感じたが、他にも気がつく人たちが出てくるかもしれない

あのクラスメイト達は意外にも鋭い人達が多い
1ーAはまだいいとして他のクラスに突っ込まれるのは厄介だ

「はぁ…」

面倒くさい

考える事が多くなるとどうしてもそう感じてしまう
元々人との関わりが得意では無いのに

人付き合いって本当に面倒くさい
今まで人と関わることがほとんど無かった結果がこれだ

周りの人達はこんな面倒なことをしながら生活を送っているんだな

どこか他人事に思えてしまい、考えることを放棄した私は手元にあった携帯ゲーム機に手を伸ばしスリープモードを解除した

「ゲームの中だとそんなに考えなくて良いのに」


現実の世界はそんな単純に進むものじゃない

世の中は面倒事で溢れてる

もう一度大きなため息をひとつ零し
自分以外誰もいない部屋にひっそりと溶けて行った





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