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将来の夢はなんですか?

そう聞かれて殆どの人がヒーローになると
そう答えるだろう

それを現実として考えているのか、それとも周りに憧れてなのかは各々の理由であるため私の知る所以でなない

「ねぇ。かなめちゃんは将来何になりたいの?」

小学校時代、担任教師がにこやかな笑みで私に聞いた

「わからないの」

「将来の夢が?」

「そう」

首を傾げるこの教師はきっと良い人なのだろう
生徒思いの、優しい先生
それを目指しているのだと思った

「みんなみたいにヒーローになりたい訳じゃないの」

「みんなと一緒になる必要は無いんだよ」

「そうなの?」

「勿論!自分がしたい事、なりたいものを素直に考えてみよう?」

教師はそう言った
多分、その言葉は嘘ではないのだろう

「先生は?」

「え?」

「先生は、先生になりたくて先生になったの?」

私のその言葉に教師は一瞬、ほんの一瞬だったが表情が変わった

「えっと、そうね…小さい頃はみんなみたいにヒーローになりたかったかな?でも、今はこのお仕事で良かったと思ってるんだよ」

「……そう」

「かなめちゃんがゆっくりで良いから将来の夢見つけてくれたら先生は嬉しいな」

「先生は、私が夢を見つけたら嬉しいの?」

私がそう言うと教師はまたにこりと笑ったのだった

優しい顔をして笑う人だと思った
心の中を覗いた訳でもないがきっとこの職についたのは本人の中で不本意な部分もあったのだろう
けれどそれ以上に、今の職業に不満があるようには見えなかった





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