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第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -




徒競走の順位が上の人からポイントを多く貰って騎馬戦をするらしい

誰と組むかは自由だけど私の個性はあまり役立ちそうにないな
順位が上位だとその分目を引くし
と言うより私別に上に行きたい訳じゃない
目立ちたくないし、目立つのはやめた方がいいと言われた

相澤さんから前の説明でヒーロー事務所から職場体験とかある時に自分を知ってもらう機会になるともあったけど私はどう考えても行かない
というか行けない
多分相澤さんのそばに居ないといけない

特に役に立たない私はここで脱落かな
適当に誰か人と組んで…

そこでぽん、と肩を叩かれた
振り返るとどこかで見覚えのある紫の髪型
そう言えば前日にA組に宣戦布告しに来た子だ

「なぁ、あんた俺と組まない」

そう声をかけられた
彼の個性はなんだろうか
目立つ個性だと困る

相手の目をのぞき込む
悪いけど個性を使わせてもらう

どうやらこの子は自分の個性にコンプレックスを抱いている
洗脳系の個性、私と同じ
でも、この子はその状況を打破しようとした様子はない
見た感じ筋トレなど基礎体力を作る事はしていないように思う

不満はある癖に努力せずに、自分の現状に不満を募らせ今に至っている
この子の個性発動条件が分からない

洗脳系の個性は少なからず自分の声や目などに影響するものが多い
身体に触られたが特に異変はないし、目は合っているところを見ると声に反応すると個性にかかる可能性が高い

「……」

ジェスチャーで一緒に騎馬戦に組むか提案する

「あんた、俺の個性分かんのか」

返事はしない
とりあえずうな頷く

私と彼を交互に指さす
同じ系統の個性であることを伝える
伝わったかは微妙だけど

「まぁ、個性かけてもいいけど、目立つことはしないでね」

「…なんか、調子崩れる。あんた洗脳系の癖になんでA組に…」

彼の言いたい事はまぁわかる
でもこれは今言う話でもないと思う

「機会があれば」

私の言葉に彼は顔を顰めた
だって私は彼のように一般入試でここに居る訳では無い
特別枠で居るのだ
敵にならないよう監視のため入学させられたという事を伝える事がいいことなのかは分からない
彼がどうしてもと言って来た時は伝えよう

「あ、そうだ。君洗脳系なんだよね?」

「ああ」

「私も個性にかかって操られてたってことにしておいて」

その方が都合がいい

「君は騎馬戦で2回戦突破を狙ってるだろうけど私は違うから」

操られてたって事で辞退することにしよう
それなら目立たないし、私は記憶がございませんで通るはずだ

「君じゃない…心操だ。心操人使」

「そう、私は桧山かなめ。よろしく、心操」

へらりと上辺だけの笑みを浮かべると心操は変な顔をしてた



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