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「桧山は熱で休みだ」

休校日の翌日、包帯で巻かれた相澤先生が教室に入ってきた
クラスメイトが休みになったことは入学してから初めての事で教室は少しざわついた

「USJの時の怪我による感染から来る熱だそうだ」

「…え」

口から出たものは音にならなかった

「桧山どこ怪我してたんですか!?」

切島さんが焦った様に声を上げた
あの日桧山さんはどこかケガをしている様には見えなかった

「右太腿だ」

その時ふと思い出した

あの時桧山さんから止血法を教えて欲しいと言われた事を
傷口を洗って清潔な布を当てて止血するといいと伝えた

その後何故かお礼を言われたのだ

あの時なんの疑問も感じなかったが今思えば不自然だ
殆ど怪我をしていないのに何故止血法を聞いてきたのか

「わ、私が桧山さんに止血法を伝えたから」

桧山さんが今熱を出して寝込んでいるのは私のせいだ
視界が歪む

「私のせいで、桧山さんは」

「それは違うぞ八百万、あいつの自己管理不足だ」

「で、ですが!」

「怪我を放置したらどうなるのか、あいつは知らないんだよ」


クラスメイト達は呆然としていた
私も勿論そうだ


「いや、怪我放置したら化膿して熱出たりするだろ」

誰かが呟いた
1度は経験したり、幼い頃友人の話を聞いたりなどしていないのだろうか

「だったらお前らが教えてやれ」

それだけ言うと相澤先生は教室から出ていった

「つーか、怪我してたの全然気が付かなかった」

「普通に相澤先生担いでたよね」

ポツリポツリとその時の事を話す
帰りのバスでも普通だったのだ

「手のひらは少し切ってたけどさ」

「私はその傷を手当てするのだと思っていましたの」

「桧山が学校来たら色々教えてやろうな!」


暗い雰囲気を消すように明るく言った切島さんに皆が頷いた





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