×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




USJで救助訓練をすることになった日の事だった
委員長飯田が張り切ってクラスメイト達を仕切っていた
でもカラまわってて皆にからかわれていた

周りにならって薄ら笑いをうかべておいた

私は空いている席に座ることにしたのだ
そしたら隣に来たのは何故かクラス一のイケメンである轟焦凍だった
この男は喜怒哀楽の怒は出やすいがそれ以外は表面に出にくい

私にとってはどうでもいいのだが

「轟、なんで私の隣に来たの?」

「特に理由はねぇけど」

「そっか」

それだけ会話をすると轟は腕を組んで目を閉じた
会話をしなくていいのは楽だった

私も周りから声をかけられたくなくて目を閉じて過ごす事にした
なんか盛り上がってるな
そんなふうにしか思えなかった

USJに着いてから施設内に入る

13号先生と相澤さんが何かを話していた時だった
フロアの中央に変な歪みが出来てから大量の人が出てきた

なんだ、これは
そう思った時には空中だった

受身が上手く取れなくて背中を思い切り強打する
痛みで呼吸が止まる

「っ、げほ!」

周囲に人の気配がない
クラスメイト達は何処だ
みんな飛ばされたのか?
ここは…?

全てを見た訳では無いから施設内の構造は分からない
だが天井をみる限りドームが見える
ということは何かの建物の中では無い

中央の噴水があった場所へ行けば分かるか

走り出すと所々から様々な音がした

「止まれ!」

目の前に突然男が数人飛び出してきた
手には斧のような物を持ってる

「止まれと言われて止まる人は今までテレビでも小説でも見たことないな」

「この糞ガキ!」

私の言葉に憤慨した男は顔が真っ赤になっている
面白い
激怒とはこういう顔なのか

「私、急いでるから」

私と目が会った瞬間男は止まった
周りの仲間たちは動揺している
まぁあんなに怒っていた奴が銅像の様に動かなくなったら困惑するだろう

「邪魔しないで欲しいな」

馬鹿な人達
私にわざわざ顔を向けてくれるなんて

そのまま動かない奴らを置いてその間を走り抜けた

噴水の近くまで辿り着いた時時間が止まった様に感じた
相澤さんが

あの日の時の様に赤くなっている

「お、かあ…さん」

最後の母の姿が重なる
呼吸、上手く出来ない

この思考は駄目だ
今、出来ることがある筈だ
止まれ、止まれ止まれ

近くにあったガラスの破片を思い切り太腿に刺す

「っ、」

よし、落ち着け、走れ

ズキズキと痛む感覚が思考を落ち着かせる

「……!!」

私が駆けた先には中央にいた顔や体に手を付けた男と脳みそが見えている巨体があった
そしてもやの敵と目が合った

その瞬間動きが止まり爆豪が飛び出てきた
オールマイトも来た

間に合ったのだろうか…

「そうだ、相澤さん」

早く行かなければいけない
救援が来た時に直ぐに病院へ運べるようにしないと

峰田と梅雨ちゃんが相澤さんを運んでいた
緑谷はオールマイトの所へ行った様だった

「峰田、変わるよ」

「おー、サンキュ」

相澤さんの身体に触る
まだ暖かい
でも血は沢山流れていた

ドクドクと心臓が耳の傍にあるような感覚
気持ちが悪い
本屋で感じたものとは違う嫌なものだ

入口付近に着いて男子達に相澤さんを運んでもらう
長い時間の様に感じたがそれは数分の出来事だったのだろう
校長先生と共に先生達が来てくれた

ほっとした
これは、安心なのだろうか

どうしたらいいのだろう
ここは、三奈のように涙を流すのが正しいのか
わからない

相澤さんはすぐに搬送された
重症、今後目に障害が残るかもしれないとの事だった

だから嫌なのだ
やさしいひとはいつだって自分を犠牲にするんだ


バンッ!!!!


「きゃっ!?」

「な、なんだ!?」

「また敵!?」

ざわつくクラスメイト
違う、これは

「イレイザーは大丈夫だ、落ち着け」

私の肩にポンと手を乗せた
山田さんだった

「…はい。すみません」

この人もまたやさしいひとだった
きらいだ
やさしいひとは



prev * 24/44 * next





TOP