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桧山かなめという少女は普通とは違う
彼女の個性や過去にあった出来事がそうさせているのだろうと思う

引き取った後も興味を示したのはゲームだけ
感情移入をしているようには見えないし、楽しめているのか分からない

そして、自分に無関心だった

雄英に入学してからもそれは変わらない
変わったところと言えば貼り付けたような笑みをするようになった事だろう

へらへらとした笑みを浮かべてクラスメイトと雑談しているのを見かけた

意外にも溶け込めているのはゲームでの知識を活かしているからか
家に帰るといつも静かだった
テレビも付けずぼーっとソファに座っているのだ

「かなめ」

声を掛けるとゆっくりと振り返る
その顔はやはり昼間見た貼り付けた笑みでは無かった
何も写してない、初めてであった頃と同じ顔だった

「おかえりなさい」

「あぁ、ただいま」

会話は少ない
でもお互い無理して話すような事もしない

彼女の口癖はわからない、だった

自分の事も、他人の考えも理解できない様だった
関心が持てないのだ

自分の心を殺し続けた彼女にとって

教師の立場としても保護者としてもどうにかしてやりたいと思うが上手くいかない

「相澤さんは…」

口を開いたがその後の言葉は続かない
表情が無いため何も読み取れない
逆にこいつには分かるのだろうが

「私、は…わからないことばかりで、何も出来ない」

「そうか」

「でも、分かったことがあるんです」

「……」

「私には優しくされる権利なんてないって事です」

優しくされる権利とはなんだ
そんなものは無い

「その権利はお前には無いのか?」

「はい」

「何でそう思う」

「人を殺した私に優しくする必要は無いからです」

なんの感情もなく淡々と話す瞳にはやはり何も写ってない

ここで何を言っても多分…いや、絶対に届かないのだろう

桧山かなめはとても危うい存在だった





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