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最初の印象は覚えてない
ただのモブ
それだけだった

ヒーロー基礎学の演習でペアを決めた時に初めて関わった
その時のそいつは何も無かった
いや、何も写してなかった

ただその出来事を判断し行動しているだけだった

「爆豪」

「あ?」

今回の演習もまたヒーローと敵に分けて行うものだった
俺達は敵側だった

教室で見ていた時とは明らかに違う雰囲気
なんだ、こいつ

「私さ、ヒーローがどこにいるか分かるんだけどさ。どうする?奇襲する?それとも私が行った方がいい?」

「は?お前洗脳系の個性じゃねぇのかよ」

「うん、そうだよ。あそこにさカメラあるでしょ?それをちょっと弄ったというかまぁハッキングしたの。だからヒーローの場所は丸わかり。今どこに向かってるかもね」

クソ髪がこいつは洗脳系の個性だと話していた
それよりも強力なものなのか?

「テメェ…」

「別に隠してた訳じゃないよ。自分の個性、言い回すのやめろって保護者から言われててね」

保護者、という言葉に違和感

「で、どっちにする?まぁ相手も二手に分かれて人質(人形)を助けに来るだろうけど」

「場所どこだ」

「1人はこっちに向かってる。もう1人は3階フロアにいるね」

ただ淡々と話をしている
へらへらした雰囲気は無い

「私は戦闘向きじゃ無いから爆豪に任せるわ。梅雨ちゃんがこっちに向かってるし、下にいるのは飯田だから私じゃ多分勝てないし」

貼り付けたような笑みを浮かべてヒラヒラと手を振る姿を見て舌打ちをして部屋から出た

あいつの言った通りメガネ野郎は3階フロアにいた

「なっ!?何故爆豪君がここに!」

「うるせえ、クソモブが!」

不意打ちの攻撃をモロに喰らっていた
油断した間に捕縛紐を巻き付ける

「おい、」

『はいはい、飯田捕縛したね、ありがとー』

インカムからあいつの声がする
これも見てたってか
苛つく

「お前の方は」

『うん、もうちょいでこっちに着くかな』

声に焦りや動揺は感じない
さっきの声色と同じだ
なんなら教室で雑談してるように話す

蛙女が自分に攻撃してきたらどうするつもりなのか
人質をとられたらこっちが負けになる

「テメェ、負けたらぶっ殺すからな」

『はは、ぶっ殺すか、良いね…敵っぽくてさ』

ガチャリとドアを開ける音がインカム越しに聞こえた

『まぁ、敵は敵らしく振る舞うとしようかね』

その会話を後にインカムの電源を落とされた

「クソが!!」

舌打ちをしながら人質がある場所まで向かう
電源切りやがって
自分の手の内は見せないとでも言うつもりか
腹が立つ
自分が俺よりも優れているとでも?

ドアを開けるとそこにはいつもと同じ顔をしたクソ女と倒れてる蛙女
お互いに傷一つついてない
どういう事だ

「お前、」


『敵チーム勝利!!!』


口を開こうとした時、オールマイトの声が聞こえて来た
演習はこっち側の勝ちだが納得がいかない

「良かった、爆豪にぶっ殺されなくって」

ヘラヘラと貼り付けた笑みを浮かべ俺を見る

「お前、こいつに何した」

「ん?」

俺が足を止めるとこいつも足を止めた

「特にこれと言って何も?ただ相手の脳を思考停止させただけ。クラスメイトに悪いことできないしね」

話はそれで終わりとでも言いたげに歩きだした
気に食わない
ただ相手の脳を思考停止させただけだと?
そんなん普通の芸当じゃ出来ねぇだろ

「テメェは俺がいつかぶっ倒す」

「はは、そこはぶっ倒すじゃなくてぶっ殺すでしょう?」

手をヒラヒラさせて前を歩くのにも腹が立って大股で追い越した





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