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私は相澤さんに引き取られてわからないことばかりだったけど分かったこともあった

私は料理が得意では無いということ
厳密に言うとつくれない訳では無いが苦手だということだ
暇つぶしにと山田さん(そう呼ぶと何故か嫌そうにする)が持ってきてくれた料理本を読んで作ってみたが写真で見た物と出来上がった物が違う

形もガタガタで何度も指を切りそうになった
色合いも違うしなんか焦げてる
それに私は料理の適量という文字が理解出来なかった
適量とはなんだ
厳密に言うと意味は知っているが美味しいと感じる量は知らない

時間通りに煮詰めたはずなのに味見してみると生煮えだったのかじゃがいもはジャリジャリしている
肉は焦げてるし味も薄い
糸こんにゃくは干からびてる

初心者向けと書いてあったがそうじゃ無かったのではないだろうか

昼間は相澤さんは仕事で不在なため一人で作ったものを食べる

食べられるものなら何でもいいがこれは多分

「…不味い」

これが美味しくないと言うのは分かった
失敗というものだ

不格好な肉じゃがらしい物を1人でモグモグと消化していく
多分、私に料理は向いてないのかもしれない

多めに作らなくて良かった
これなら私一人で食べ切れる

失敗した物を食べさせて仕事に支障をきたしてしまってはいけない

もっと手軽に出来るものはなかったか思考の中で料理本を捲っていく

どれも適量とかの文字がある

分かった
私は適量が嫌いだ





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