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かなめは周りとはどこか違う子だった

教室では大体ゲームをしていて、クラスメイトとの会話はしない訳では無いけどどこか一線を引いているような気がした

へらりと当たり障りのない表情を浮かべてのらりくらりと会話をしている、そんな感じ
敢えて突っ込んで聞く必要も無いと思っていたし
そういう性格なのだろうとあまり気にしていなかった
けどこの前、上鳴達がかなめと話したことについて少し教えてくれた

幼い頃に親と離れて暮らすようになり、人と必要以上に接点を持てなかったこと
そのせいで幼少期に自由が少なく経験が極端に少ないこと

込み入った話は聞けなかったが、幼い頃に何かあったのは確かだろう

かなめは感情の変化が平坦だ
ヘラヘラと笑うことはあるけど、大笑いする所を見たことがない
大怪我をしても痛そうに苦痛に顔を歪めない
イライラしていることも無いし、悲しげな表情を浮かべることもない

ただ、いつも通りにヘラりとした笑みを浮かべている

クラスメイトの中ではそれなりに仲の良い方だと思っているけれどかなめがどう思っているのかは分からない


「耳郎?」

「ん?」

視線に気がついたのか、イヤホンを外しこちらを見ていた真っ黒な瞳と目が合った

「私の顔何か付いてる?」

「いや、あんたって意外と睫毛長いんだね」

「んー?そう?自分じゃあんまり分かんない」

私の言葉を聞いてかなめは睫毛を摘んだ
化粧っ気のない顔だけど多分化粧をしたら結構変わるタイプだろうなぁ

「今度あんたの事化粧させてね」

「?なんで急にそんな話になってるの?」

「かなめって、化粧映えしそうだなって思って」

「私化粧品なんか持ってないけど」

「いいよ、私の貸すから」

「えー、いいの?」

「私が見て見たいからいいの」

私がそういうとかなめは少し目を丸くしたあとへらりといつもの笑顔をうかべた

「えー、なんの話してるの?」

私達の話を聞いたのか、三奈が入ってきた
それに続けて他の子達も加わってきた

「楽しそう!みんなでお買い物とか行きたいね!」

葉隠が楽しそう(見えないけど身振りで)に話す


「かなめってどんな服が好きなの??」

「さぁ…動きやすければなんでもいいかな」

「えーそんなのつまんないじゃん!オシャレしようよ!オシャレ!!」

「皆でショッピングしようよ!ショッピング!!」

「えー、うーん。保護者の人がいいって言ったらね」


“保護者“という言葉
ということは両親ではない誰かにお世話になっているという事だ


「無理にとは言わないけど、雄英に来てみんなで出掛けたことないし行きたいな」

「あれ?耳郎、ここにきてデレですか?」

「っ!茶化すな!」

偶にかなめは茶化す事がある
本心かどうかは分からないけど、彼女なりの気遣いなのかもしれない


いつの間にか女子みんなで出かけようという話になり思っていたよりも大人数での外出にその日が待ち遠しくなった





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