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相澤さんは病院に入院しながらではあるが仕事に出てきていると山田さんから聞いた
帰りは山田さんに送って貰った

解熱剤を飲んでいいとリカバリーガールが帰り際に教えてくれた

相澤さんはミイラ男になっていたと山田さんが笑っていた
ミイラ男が何なのか知らなかった為、聞いてみたら包帯をぐるぐる巻きにされた男のことだと言っていた

「お前はもう少し周りを見ろ」

相澤さんと違う手つきで私の頭をポンと撫でた

「まわり?」

「クラスメイトたちが心配してたってよ」

「心配」

分からない
リカバリーガールのこともそうだがどうして自分のことでは無いのに心配したり、怒ったりするのか

「お前がイレイザーを心配してたのと同じだよ」

「わたしが?」

私は心配してたのだろうか

「生きててよかったって言ってただろ」

「あ、山田さんも聞いてたんですか」

「イレイザーは今手が上手く使えねぇからな」

別に聞かれても構わないけど

「わかんないです。あれが心配なんですか」

そうなのだとしたら、私はあんな気持ちはしたくない

「周りの奴らはそういう思いをしたんだよ」

「それは悪い事をしましたね」

普通の人達はあんな気持ちをして過ごすのか

「普通の人達は、大変ですね」

「ん?」

「そんな思いをして生活するのは大変だと思ったから」

私の言葉に山田さんはまた笑った
分かればいいんだとでも言いたげだった

また明日な、そう言って帰って行った


▲▼


次の日、教室に入ると百が勢いよくやって来た

「桧山さん!」

「ん?どうしたの、百…」

「一昨日は申し訳ありませんでした、私があの時気付いていれば」

目をうるうるさせながら私に謝る百
何について謝っているんだろう

「なんで百が謝るの?」

「桧山さんが熱を出してしまった原因に私がいるからです」

「私が頼んだことを百は教えてくれただけなのに、謝る必要ないじゃん。変な百」

私がそう言うと百は涙を零した
どうするのが正解だろう
あ、ゲームでこういう時は涙を拭ってあげると女の子は泣き止んでくれた

背の高い百の目元に指を這わせて涙を拭った

「泣かれると、どうしたらいいか分からない」

「っ、す、すみません!」

何故赤くなる?
でも、アオイちゃんもそう言えば頬を赤らめていたな

「ラブコメじゃねぇんだから!!」

「あ、上鳴だ。おはよう」

「いや、後ろつっかえてんだよ!中入ってくんねぇ?!」

「そうだった。ごめんね」

ドア前に立たれていたら迷惑か
泣き止んだ百の手を引いて席まで連れて行く

「お前大怪我とかした事ねぇの?」

荷物を置いた上鳴が私の所にやってきた

「大怪我ってそんなに普段からするものなの?」

「いや、普段からはねぇけど」

「でも怪我悪化したら熱出る事くらい知ってるだろ」

既に登校していた瀬呂まで会話に入ってきた

「この前のが初めてだよ、クラスメイトと交流も無かったし、感染症の話なんて教科書に載ってなかった」

「なんか意外だな」

上鳴が不思議そうに言う
意外だろうか

「桧山クラスのやつらと交流ありそうなのに」

そんな事は無い
そもそもクラスメイトとしっかり話をしたのは高校になってからだ

「お前実は箱入り娘?」

「箱入り娘…」

意味は知っている
だが私は違う
ある意味合っているだろう
何処にも出れないように監禁されていたわけだし

「お金持ちとかそういう訳では無いけどある意味そうかも」

「は?まじ?」

「うん、私高校に入るまで買い物いったりとか3歳迄だったし」

「どんだけ過保護なんだよ」

「過保護だったかもね」

「んで、油断して怪我したわけ?」

「いや、あれは自分で刺したの」


「「「「は??」」」」

何故か会話に入っていない人達からも声が上がった

「みんなどうしたの」

「いやいやいや!おかしいだろ!なんで自分で刺してんだよ!」

「そうしないと動けなかったから。ただそれだけだよ」

平然と言ってのける私にみんなは私を凝視している
へんなの

「みんなだってそうするでしょ?人を助けるために自分が痛い思いをするくらい」

「そりゃない訳では無いけど、お前のはやりすぎだ」

瀬呂眉を下げて私を見ている
あれは、心配してる顔なのだろうか

「あれは私が弱かったから。それだけ」

「でも、お前のこと心配してる奴は沢山いるんだからそこは忘れんなよ」

「うん、心配かけてごめんね」

「あと、わかんない事があったら聞けよ!」

「それはみんな困るよ、私分からないことばっかりだから」

そう言っていつも通りの笑みを貼り付けた



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