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1-Aが演習時に敵に襲撃された
駆けつけるとボロボロの消太に涙を流す生徒や息を着くもの達だった

そんな中、かなめはどうしたらいいのか分からない様子で消太の近くに立っていた

搬送後に警察から消太の詳細を聞かされたあいつは俯いて何かを呟いたと思ったら突然爆発音がした

「イレイザーは大丈夫だ、落ち着け」

肩を置いてそう言うと小さな声で返事をした
今思い返すと自分自身に言い聞かせてるみたいだったな

翌日生徒たちは休校となったが教師に休みは無い
消太はまだ意識が戻っていないらしい

かなめは大丈夫だろうか
まだ出会ってそう経ってないがあんな姿は初めてだった
事件の詳細やあいつの待遇は知ってる

LIMEを送ってみるが返信は無い
既読も付かない

疲れて寝ているのだろうか
その時はそう思って気にしないようにしていた



▲▼



翌日、包帯巻にされた消太が職員室に入ってきた

「おいおい、お前大丈夫なのかよ!」

「大丈夫じゃなかったら来てないだろ」

「どう見ても大丈夫じゃねぇよ」

「ばぁさんが大袈裟なんだよ」

そうは言うがやはり自宅には帰れないらしく暫くは病院から学校は通うとの事だった
当たり前だろう

「そういや昨日かなめにLIMEしたんだけどまだ既読になってねぇんだよ」

今までそんなに多くはないが既読がつかなかったことは無かった

「充電のし忘れか?」

消太は眉間に皺を寄せた
もうすぐHRの時間だ

とりあえず教室へ行くらしい

数分後物凄い勢いで職員室に帰ってきた
みんな何事だと言うように消太を見ている

「な、なんだ、どうした」

「桧山に電話をかけろ」

「は?」

「学校に来てない」


その言葉に職員室全体がピリついた


電話をかけるが繋がらない
いや、攫われたとかそんなはずは無い

もう一度電話をかける

何コールかした後電話に出た

「桧山お前今どこにいる」

机に置いてるスマホには通話中の文字
消太が鋭く問う
暫くしてからゆっくりとした口調で答えた

『…いえ』

家?
もう学校が始まっている時間だ
寝坊にしては声のトーンが違う

『あいざわ、さん?』

「お前、」

『いきてる…よか、た』

息を飲んだ
こんな声は聞いた事がなかった

「おい、桧山」

寝息のような音がする
眠ってしまったようだ

「……もしかしなくとも、熱出てんじゃねえか?」

風邪か?
昨日の事がショックで熱が出た?

「俺は家に帰れないからお前が様子を見に行け」

「は?俺?」

いやここは女のミッドナイトさんとかじゃねえのかよ
俺の思考を読んだかのように消太は続けて言った

「ミッドナイトさんと面識無いだろ、あいつ」

「いいから早く行け」

頼まれているはずなのに何故か追い出された
今日の授業は午前中何も無いことを知ってるからだろうが扱いが酷い

鍵を渡され消太のマンションに向かう
部屋の中は真っ暗だった
あいつの部屋は手前だったな

入ったことは無いが場所は知っていた

ドアを開けるとベッドの真ん中に丸くなっている物体がいた
部屋の中は年頃の女とは思えないほど閑散としている
小さな本棚1つとテーブルそしてベッドだけだった

ベッドに近づき布団を軽く捲る
そこには顔を赤くして寝込んでいるかなめがいた

額に手を当てると異常に熱かった
汗もかいているし水分を摂らせなければと起き上がらせようとすると鉄の匂いがした

「お前!」

右太腿から出血している
タオルで止血しているつもりだったのか分からないがパジャマが変に膨らんでいた

怪我した所から感染して熱が出たんだ

熱だろうと思って解熱剤やら色々買ったがこれはばあさんに看せた方がいい

車に乗せて学校に戻る
とりあえず連絡はして保健室へ向かった

「…なんで事件の時に言わなかったんだいこの子は」

ばあさんはため息をついた
怪我は治ったが熱は下がっていないらしい

「俺も気が付かなかった」

いつもと違うことは気がついていたが怪我をしていたことには全く気が付かなかった

コスチュームズボンが黒だったこともあるだろう
それにあの場所には軽傷ではあるが怪我人がいたため血の匂いにも不自然には思わなかった
歩き方もいつも通りだった

「この子もまた難儀だねぇ」






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