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当たり前な事ではあるけど人生はゲームのようにリセットしたりセーブ&ロードも出来ない

ひとつの選択を間違えたら間違えたままその道を進むしか出来ないのだ
ゲームはいいな
いろんな選択をして自分にとっての最善が決められるのだ

自分にとって正しいと思っていた道を踏み外しても軌道修正出来る人もいればそのまま踏み外した道を進む者もいる

私はどっちだろうか

踏み出したさきが泥沼で足元からズブズブと埋もれていってもがけばもがくほど沈んでいく

「みんなはさー、躓いたり転んだりした時どうする?」

「何それ?心理テストかなんか?」

「いや、純粋な質問」

昼休み、食堂から戻ってきたクラスメイトに聞いてみる

「自分で立ち上がるしかなくね?」

「自分で立ち上がれない程大怪我だったら?」

当たり前だと言うように話す上鳴にさらに追加質問してみる

「そしたら誰かに助けを求めるとかかなぁ?」

お茶子が少し考えながら答えた

「ヒーローなのに?」

「ヒーローは助けを求めたらダメなの?」

「ヒーローは人を助けるのに、人に助けを求めるの?」

梅雨ちゃんが私の質問に質問で返してきた
ヒーローは助けを求めていいの?
1人で何とかするんじゃないの?

分からないな
やっぱり私はここに来ても分からないことが多い

「ヒーローであっても困った時は助け合うものでしょう?」

梅雨ちゃんの答えはやっぱり分からなかった
そうなんだ、と返してその話は終わらした

私には理解できない事だったから


その日の夜相澤さんが帰ってきてから昼休みの話をしてみた
ヒーローである相澤さんだとまた違う答えが貰えるのではないかと思ったから

でもそんなに答えは変わらなかった

「ヒーローは確かに人助けをするが1人じゃ出来ないことも多い」

「ヒーローなのに?」

「ヒーローだって人間だ」

「それは分かってますよ、ヒーローなのに助けを求めるんですか?」

「助けを求めると言うよりは協力する事が多い」

「協力?」

助け合うという事か
でもやっぱり分からない

「人生はゲームじゃないから間違えたままの私はどうしたらいいのか分からない」

「お前の道は間違えてるのか?」

「間違えたまま、沼にハマって動けないの。そこに誰も通らないから沈むのを待ってるの」

相澤さんはいつもの様に変な顔した

「私はいつも相澤さんに変な顔をさせてますね」

この人を困らせてしまっているんだろう

「お前の道に誰か沼から助けに来てくれる奴が出来れば良いと俺は思うよ」

相澤さんは優しい人だ

私は、優しい人が好きじゃなかった

優しくされる価値なんて、私にはないというのに
この人の眼差しはいつだって優しい




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