×
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




相澤さんが帰ってきた
と思ったら知らない人が横にいた

金髪のサングラスを掛けた相澤さんとは真反対だ

「……」

こういう時はなんというのが正解なのだろう
初めまして?
こんばんは?
どちら様ですか?
相澤さんとはどういうご関係ですか?

頭の中でグルグルと考えが巡って纏まらない

「よぉ!お前が桧山かなめかぁ!」

「……はい」

私が口を開く前に相手が声をかけてきた
何と返す?

どうして私の名前を?
どうしてここに来たんですか?
どうして
どうして、どうして

分からない
分からないことばかりでどうしたらいいのか分からない

固まったまま動かない私を見て相澤さんがため息を吐いた

「マイク、止めろ」

「いやー!お前がJC連れ込んでるって聞いてどうしても見てみたくってよぉ」

「連れ込んでるんじゃない、保護してるんだ」

「同じだろ」

何やら2人で言い争い?を始めてしまった
私を見に来たのには違いないが何かをするという訳では無いみたいだ
別に何かをされてもどうでもいいのだが

「……」

リビングに居ない方が良いのだろうか
テーブルの上に広げていた新聞を畳んで立ち上がる

「どうした?トイレか?」

相澤さんの知り合いの人が私に向かって声をかけた

「私、部屋に戻ります」

「ん?」

「お邪魔しました」

この言葉遣いが正しいかは分からない
たが、間違いでもないと思った

知り合いの家に来たのなら何か話があって来たのだろうし
何がするのであれば子供の私はやはり邪魔だろう

「おいおい、俺はお前に逢いに来たんだぜ?」

「私に、ですか」

「そーそー、これ土産な」

マイクと先程呼ばれていた男性は私の手にビニール袋を持たせた
中を開けてみるとキラキラしている食べ物が入っていた

「これは、何でしょうか?」

「コンビニ限定フルーツゼリーだ、美味そうだろ?」

「美味そうかは分かりません…でも、綺麗だと思います」

「そうか!んじゃ飯食った後に一緒に食おうぜ!」

私と関わってきた人達はみんなオドオドしていたのに相澤さんに出会ってから変わってきたように思う

「かなめはコンビニ弁当食べたことあるか?」

「ない、と思います」

「最近のコンビニは進化してるからなー今度消太に連れて行ってもらえ」

「え、あ、いえ…相澤さんの手を煩わせる程のことでもないですから」

「いいんだよ、年頃の娘がいるのに無頓着なこいつが悪い」

「そう、でしょうか」

「ん?」

多分ではあるがマイクさんは相澤さんの事を少し勘違いしていると思う

「私、今の生活に不自由を感じてません。相澤さんに感謝してます。あそこから出ることが出来て色んなことができるようになって。楽しいのかは、分かりませんけど少なくとも前よりは良いと思うようになりました」

自分の思っていることを伝えた
2人はぽかんとしていた
相澤さんの、こんな顔初めて見たかもしれない

ちょっと面白かった

「えっと、マイクさん、で合ってますか?」

「おう!」

「デザートありがとうございます。食後のデザートの為に冷蔵庫に入れておきますね」

その場から少し離れる
よく知らない人と話すのは疲れる
警戒心をどのタイミングで緩めたらいいのか分からない

私は基本的に個性は使わない
使われた相手も良い気はしないだろうし

「相澤さん。どれにしますか?」

3つある弁当をどうするかまずは相澤さんに聞いてみた
相澤さんはどれでもいいと言った

「マイクさんは、どのお弁当がいいですか?」

私がそう聞くとマイクさん(よく分からない人)は焼肉と言った
焼肉が入っている弁当はひとつしか無かった為それを渡す

「相澤さん、このどちらかでどうぞ」

私がそう言うとまた変な顔をした
私はなにか変なことを言ったのだろうか?

「お前はどっちがいいんだ」

「私は、食べられればそれで良いので」

本当にその通りだった好きも嫌いもない
厳密に言えば美味しいと思わないものはあるが食べる事はできるのだ

「魚がいいとか揚げ物は嫌だとかあるだろ」

「私は、食べられれば本当にどっちでもいいのですが、相澤さんの明日に響かないように揚げ物にします」

チキン南蛮と言う料理らしい
初めて見る
甘辛いタレとマヨネーズのような白い物がよくあっている

「うまいか?」

「…ご飯がすすむ味です」

「そうか」

相澤さんはそう織ってまた私の頭を撫でた
変わった人の周りにはおかしな人も集まるのだろうか

その日私は初めてプレゼントマイクにあった
そして相澤さんから本名は山田ひざしだと教えてくれた

食後のデザートのフルーツゼリーは冷たくてぷにぷにしていて変わった食感をしていた





prev * 15/44 * next





TOP