私はこの雄英高校に自分から進んで受験した訳でもなく、推薦入試を受けたわけでもなかった
特別枠と言うやつらしかった
私の個性は特殊で危険だった
対象の深層心理まで見てしまうことは危険だとされたのだ
保護の目的として名目はそうしているが私にはわかっていた
私が敵になる事がないように監視するために入学させたのだと
そして、個性を消せるヒーローを担任にしたのも
別に私自身どうでもよかった
小学校時代、担任だった教師から将来の夢を見つけてくれたらという話
それから私は今でも夢を抱く事が出来ていない
常に上を目指すものが多い中で私だけが異質だった
ヒーローになりたい訳では無いのにここに居ることに違和感はある
みんなには当たり前にある夢が私には無かった
夢を持つ資格がないと思った
別に個性を悪用するつもりは無い
でも周りはそれを信じなかった
危険因子として桧山かなめを見ていた
面白かった
たかが中学生の子供にオドオドしていた刑事に
何もするつもりは無いのに、怯えた目で私を見ている大人が滑稽だった
あの日、隣にいた無精髭を生やした真っ黒な男の人
ヒーローなのにヒーローっぽくないというのが第一印象だった
そう言えば、私に特別枠の話をしに来た時相澤さんが一緒だったなとふと思った
警戒はしていたが、隣の刑事とは違ってオドオドしてなかったなと
私はいつかこの人に殺されるんだろうか、そう思った
危険因子の私が少しでも変な行動をすれば躊躇いもなく殺すのだろうか
「貴方は私を殺しますか?」
初めて口を開いた私に相澤さんは面倒臭そうな顔をしていた癖に目を丸くしていた
それもまた面白かった
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