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「#幼馴染」のBL小説を読む
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デートの誘いはいつもNO


「あ!彩華ちゃーん!!!」

廊下を歩いていたら突然大声で自分の名前を呼ばれた
進めていた足を止め、数秒間空けてから後ろを振り返る

するとそこには予想通りの人物が笑顔で手を振っていた

「……何か御用ですか、及川先輩」
「及川先輩なんてつれないなぁ…俺のことは徹でいいって言ってるのに。声をかけたのは彩華ちゃんの姿が見えたから」
「…そうですか、では私はこれで」

そう言って足早にその場を去ろうとくるりと反転させると後ろから手を引かれた
もちろん、そんな事をするのは彼1人しかいない

「用がないのなら私は早く教室へ戻りたいのですが…」
「ねぇ、今度の日曜日暇?」
「……生憎ですが、その日は展覧会に出展する作品を仕上げなければならないので暇では無いです。」
「あららーまた振られちゃった」
「……もういいですか?」
「うん、あんまりしつこくして嫌われちゃったら嫌だから」
「じゃあ、失礼します」


ぺこりと頭を下げてさっさと歩く


「あ、及川クーン!!」
「ん?どうしたの?」
「今日の練習も応援にいくからね!」
「うわぁ、本当に?嬉しいな」
「これ、さっきの調理実習で作ったんだけど…貰ってくれる??」
「モチロン!ありがとー」

後ろから聞こえてきた自分よりもワントーン高い声色に小さなため息を零す
……彼の傍にいると平穏な日常が過ごせなくなる
さっさとあの場を去って正解だった

そこでふと、思う
彼は一体何時から私に構うようになったのだろうか
会う度に声をかけられ週末は暇かと聞かれる
私の様な平々凡々な女に構う暇があるなら今話している着飾った女子と戯れている方がよっぽど有意義だというのに

私の返す言葉は決まって一緒
何かにつけて彼の誘いを断るのだ
こんな私に何故構うのか甚だ疑問だが私が幾ら考えたところで所詮は他人、理解出来るはずもないのだから

きっと自分に靡かない物珍しい女子にちょっかいをかけるのが好きなのだ、彼は
塩対応をし続ければきっと諦めるだろう

もう1度小さなため息を零し自分の教室へと足を早めた