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好きが溢れる

付き合ってもうすぐ2年が経つ
好きになったのは多分私の方からで、勿論告白も私から
周りの友達に後押しされてその勢いのまま玉砕覚悟で告白したら、彼は目をまんまるくさせてその後恥ずかしげにはにかんでくれた

「俺でいいなら喜んで」

そう言って私の一番好きな笑顔を浮かべたのだ

彼のどこが好きかって言われると両手じゃ足りないくらいある

1つ目はなんと言っても優しいところ
2つ目は笑顔がとっても素敵なところ
3つ目は真面目で、しっかりものなところ
4つ目は友達思いで後輩を大事にするところ
5つ目は落ち着いた声で私の名前を呼んでくれるところ
6つ目は落ち込んでいた時は親身になって話を聞いてくれること
7つ目はバレーを一生懸命頑張ってるところ
8つ目は自分には何が出来るか考えながらいつも動いているところ
9つ目は私のことも、ちゃんと考えていてくれるところ
最後は…自分の思いをちゃんと言葉にして伝えてくれるところ

まだまだ彼の好きなところをあげたらキリがないからここまでにしておく
彼は、私には勿体ないくらいの人で正直言って釣り合ってないと思う
女の子にモテてたのは知ってるし、私が告白する前にも何人か彼に告白してたはずだ

特に何かに秀でているものがあるわけでもなく何処にでもいる平凡だと思う
多分、バレー部のマネージャーをしている清水さんを毎日見ているのだから目は肥えているはずだし
何故、私の告白をOKしてくれたのか疑問はあるけど彼が私を大切にしてくれているのは十分わかる

「…好きだなぁ」

こんな私と付き合ってくれて、私は幸せだなぁ
一生分の運を使い果たした気がする


「何が??」
「っ!?」
「ははっ!ゴメンなー急に話しかけて」


いつもの場所、屋上は鍵が開かないからドアの前の踊場が私たちの待ち合わせ場所となっている
これも2年間お付き合いしているあいだに出来た暗黙のルールだった
彼、菅原孝支君はいつもと変わらぬ笑を浮かべていた

「今日の体育バレーだったんだけど、めっちゃ疲れたー!!」
「ふふ、そうだったんだ、お疲れ様」
「当たり前だけど大地とチーム離されて対戦してさ、サッカー部の田川の足技がヤバかった!」

興奮冷めやらぬ様でキラキラと目を輝かせて私に今日の事を話してくれる
彼が楽しそうにしているとこっちまで楽しくなってくる

「あ、そうだ…これよかったら飲んでいいよ。今日はいつもより氷沢山入れてきたから冷たいと思う」
「まじ?やったー」

水筒を取り出してコップに移す
コップがひんやりとしてきたため、お茶は冷たいままだろう
そのコップを彼に手渡す

「めっちゃ冷たい、ほんとに貰っていいの?」
「うん、私は今日そんなに動いてないから喉あんまり乾かなくって…孝支君が飲んでくれたら持って帰る時に軽くなるからいっぱい飲んでいいよ」
「さんきゅー」

いただきます、とちゃんと言ったあとにごくごくとお茶を飲み干す
首筋に汗が伝っていてとても暑そうだった

「ありがと、これなんのお茶??美味かった」
「これはほうじ茶だよ、私好きなんだ」
「へぇ、初めて飲んだかも」
「もういっぱいどうぞ?」
「いただきます」

とくとくとお茶がコップに注がれていくのを見ていたら彼がこっちを見ていたことに気がついてお茶を少しだけ零してしまった

「っ、つめた!」
「あ、これで拭いて」

彼がさっきまで拭いていたタオルが私の手を優しく覆った

「汗拭いてないところだから、綺麗だと思う」
「そんなこと気にしてないから…ありがとう」
「……弁当、食べるか」
「そうだね」

何となく気恥しくなって黙々とお弁当を食べ進める
お母さんが作った甘い卵焼きの優しい味が口いっぱいに広がった


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